昼のラジオで下ネタをぶっこみ続けて20年
中村:WEB野郎中村は、もうちょっとさらに、4つくらい下かな。今41歳ですけど。
吉田:若いんだ。
中村:そうなると『やるMAN』(吉田照美のやる気MANMAN!)ですね。
吉田:番組のこと言われると、どれもつらいんですけど。
中村:全部説明してしまう。
吉田:『やる気MANMAN!』は、今では絶対に成立しない番組ですね。
中村:そうなんですかね?
吉田:そう思いますよ。中身がね。僕がちょうどフリーになって2年目ですかね。その頃はどこも大人のための昼のラジオをやっていたわけなんですけど。『てるてるワイド』が2位になっちゃって、「局アナでこのままいたら、他のセクションに異動させられるな」と思ったんですよね。僕はしゃべることにこだわりたくて、会社を辞めました。
辞めてから、『てるてるワイド』と同じ番組なんですけど、『ふッかいあな』(新てるてるワイド 吉田照美のふッかいあな)というタイトルで1年間やって。そのときに、「次は昼間やってくれ」って言われていたんです。でも全然やる気がなくてね、本当に。深夜放送をやりたくてラジオ局入って、高校生や大学生くらいの相手がすごい憧れだったわけですよ。それが『てるてるワイド』で小中学生相手でちょっと年齢層下がったというのも、すこーし自分としては後ろ髪ひかれていて。
ただ、番組としては当たったんで嬉しかったんですけど、今度は昼っていったら「大人が僕のラジオなんかまず聞かないだろう」と。それに34歳でフリーになりましたから、「そんな中途半端なヤツの話なんて」っていうのもありました。それで、「思いっきり夜と同じテイストでやっちゃうしかないな」ということで、ほとんど深夜放送のノリみたいな。
中村:そうなんですよね。
吉田:下ネタばっかりですよね、基本的に。昼に下ネタですから。それで結構年にもなっていたので、深夜放送で自分自身が色々やってきたバカな行動を、若手のアナウンサーやレポーターの人に、僕が命令して街中で生でやらせるっていうのが結構ウケたんですよね。だから、すごくひどいことやっていましたよ。
中村:この番組のためにネットに上がっているアーカイブを聞きなおしたんですけど。当時のプロデューサーかな、ドラム缶に入って。
吉田:そうそう、入った。坂道を転がすとかね。めちゃくちゃですよ。だから、四谷の文化放送のところに細い坂道あるでしょ。上がると須賀神社っていう神社があって。あそこは『君の名は』っていう映画で、ヒーローとヒロインがすれ違う坂なの。
澤本:あの坂。
吉田:あそこ。あれを見てて、四谷が結構出ているんですけど、僕もすごく嬉しくて。あの坂道を転がしたんですけどもね。
澤本:あんな急なところをですか?
吉田:すごく危ないんですよ。でも番組は20年続きましたからね。なべやかんちゃんにも、中盤から後半にかけて番組が終わるまでレポーターやってもらったんですけど、彼にも危険なことをたくさん。
ラジオで見えないからできるんですけど、「本当にやっているのかな?やっていないのかな?」って音で何となく雰囲気を漂わせながら、本当にやっているんですけどね。街中でズボンとパンツ脱いであそこにヒモでボーリングの玉をぶらさげて、どれくらい伸びるものなのかって。そんなの昼のラジオでやっていたんですよ。
最初のうちは、いまに哲夫さんっていう人がすごくて誰も敵わなかったんです。その人がやめる状況になってようやく一番になってね。何年目かな、4年目くらいかな。初めて一番になって。それからしばらく勝てるんですけど、後半はちょっと負けるようになってきて……。最後はまた一番になって終えることができて。55回トップになったというのが、一応記録としてあります。
中村:毎回ラジオの聴取率、テレビでいう視聴率のようなものを、吉田さんとディレクター、プロデューサーとかで見ながら、「勝っているか」と毎回バトルをしていたということですかね。
吉田:そうね。たぶん、そんな心境でしたね。でも、人の迷惑っていうところだけは、なるべく避けるっていう。そこが難しかったですよね。そこだけは守りたいっていうのが、最低限のルールとして自分たちの中にはあった感じかな。
中村:リスナーとして聞いている方だと、吉田さんの喋り方からそんなハングリーさが見えてこないので。そこの落差がまたいいんですけど。
吉田:いや、ハングリーじゃないですよね。
中村:いやいや。やっていることはめちゃくちゃハングリーだと思いますけどね。
吉田:まあね。今でいうとユーチューバー的な内容をラジオでやっていた感じがしますね。でも、結局は時代もいい時代だったと思います。世の中が真面目で、だから僕らもくだらないことをやって、聞いている人が「こんなことまでやるんだ」っていう感じになっていて。今の時代にそんなことをやると、炎上しちゃうこともあるし。
今はどっちかって言うと、「これ、現実?」って疑う世の中になっちゃったと僕は思っているんですけどね。だから、放送はまじめにいかないとダメなのかな、みたいなね。僕なんかは2011年くらいからそういう心境になっちゃって。でも、やっぱりバカなこととかくだらないことは好きなんで、その狭間で揺れながら、放送の仕事を続けているって感じですかね。
<中編につづく>