50歳で「好きなことをやっておけばよかった」とはじめた油絵
中村:最後にせっかくなんで、油絵の話も。めちゃくちゃうまいじゃないですか。
吉田:いやいや。僕、小学校の頃は「絵がうまいね」とかよく言われたんですよ。図画工作とか美術の時間に描いたものが褒められることが多くて。でも、大人は「絵とか食っていけないよ」なんて言うわけじゃないですか。先生もね。それで、「あっ、そういう道は選んじゃいけないんだな」って思って、捨てていたんだけど。
それで一番苦手な道を進んできて、僕は今日に至っちゃったわけじゃないですか。ところが50歳になる頃に、「ああ、やっぱり好きなことをやっておけばよかったな」って。その頃、たまたまゲストで八代亜紀さんがよく来られていたんだけど、油絵をやっていらっしゃって。事務所とギャラリー、それからご自宅のビルが僕の自宅の近所だったんですけど、あるときそこで八代さんの兄弟弟子の方が油絵教室を始められるっていうので。そこに週1ですけど行き始めましてね。
その前は鉛筆画を独学でやって挫折して、水彩画も挫折して……。その後に油絵をやってみたら、油絵って失敗しても上を全部塗りつぶしちゃえば、またサラで描けるから、これならいいなって。行き詰ったときも先生に色々聞くことでずっと続けて、もう十何年やっています。
ダリの『記憶の固執』かな。時計がグニャって曲がっている絵を中学の美術の教科書で見たとき、あれほど色んなことを考えさせられたことはなくて。「なんなんだこの絵は」っていうね。だから、人を立ち止まらせたりとか、ふっと息を止めたりとかするような絵が描けたらいいなと思って、ずっと油絵をやっていますね。
今はダリの絵に触発されて、「不思議な夢」っていう自分なりのテーマを考えてね。自分で見た夢でもいいんですけど、それを絵にすることを続けていきたいなと思って。頭で「これ書こう」と思ったときはすごい傑作ができると思うんですけど、実際に描いてみると大したことなくて。でも、「今度はすごい絵が描けるんじゃないかな」って思わせてくれる、そういう世界があるんで飽きないですね。
権八:照美さんっていうと、風刺画が。
吉田:それも今描いています。
権八:今日も近畿財務局の自殺された方、赤木(俊夫)さんね。
吉田:赤木さんのね。
権八:あの絵に「いいね」をさっきしましたけど。
吉田:ありがとうございます。
権八:いえいえ。でも、本当に上手ですよね。
吉田:いやいや、とんでもないです。
権八:上手っていうのはおこがましいんですけど。すごいなって。
吉田:とんでもないです。
中村:ありがとうございました。この番組は無料のスマホアプリ「AuDee」でも番組のトークのみを配信しています。聞き逃したという方はこちらもぜひアクセスしてみてください。というわけで、今夜のゲストはタレント・フリーアナウンサーの吉田照美さんでした。ありがとうございました。
吉田:どうもありがとうございました。また、宜しくお願い致します。
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