ベクトルグループ傘下で、モビリティメディア「THE TOKYO TAXI VISION GROWTH」(以下、「GROWTH」)を運営するニューステクノロジーと、「ノバセル」事業を運営するラクスルは事業提携の第2弾として、無料でタクシー広告の効果を分析し、レポートを提供する「ノバセルパッケージプラン」の提供を開始した。広告効果の可視化によって見えてきた、タクシー広告のマーケティング活用の可能性とは。
タクシー広告を単体でもプランニングしやすいメディアに
—モビリティメディア「GROWTH」を提供するニューステクノロジーと「ノバセル」事業を運営するラクスルが事業提携し、タクシー広告の効果を無料で分析し、レポートを提供するサービス「ノバセルパッケージプラン」の提供が開始になりました。
三浦:経営層や役職者などのエグゼクティブ層に対して、プライベート空間で1対1の訴求ができる広告メディアとして、タクシー広告は近年、国内で大きく市場を伸ばしてきました。
ニューステクノロジーが、東京都内最大規模のタクシーモビリティメディア「GROWTH」をローンチしたのが2019年4月。稼働率の高い大手タクシー会社5社の約1.1万台の後部座席にサイネージを搭載し、都内タクシー利用者の約4割を対象に、動画広告を届けてきました。
リリース以降、ほぼ満稿の状態が続いていた一方で、「出稿後の効果をどう測ればよいかわからない」といった課題の声も。総合メディアプランの中に組み込んで機能するケースだけでなく、タクシー広告単体でもプランニングしやすい仕組みが必要だと考えていたところ、ラクスルさんがタクシー広告も積極的に活用していることを知りました。そこから昨年末に発表の第1弾の提携につながったのです。
田部:ラクスルでは、ここ5年ほど積極的なマーケティング投資を行い、売上を約30倍に伸ばしてきました。
特に注力したのがテレビCM。従来であれば効果を可視化できないと言われている領域で、効果測定の仕組みをつくり、運用型の活用を可能にしたことで生まれた成果です。
その後、当社のノウハウを他社にも役立ててもらおうと、テレビCMの制作から放映・効果分析までワンストップで提供するサービス「ノバセル」の提供を開始しています。
テレビCMだけでなく、タクシー広告についても可能性を感じていたので「GROWTH」に出稿し、効果を可視化する取り組みを実施。その結果、高い効果を実感できています。
三浦:昨年末の第1弾の事業提携では「GROWTH」に特化した戦略的マーケティング設計、クリエイティブ、配信までのトータルサポートをラクスルさんと提携して行ってきました。そして今回、第2弾として、ラクスルさんの活用事例と効果の可視化のノウハウをご提供いただき、無料でタクシー広告効果を分析し、レポートを提供する「ノバセルパッケージプラン」の提供開始に至りました。
—タクシー広告の媒体特性をどのように捉えていますか。
田部:タクシー広告の最大の特徴は、乗車している人の質。エグゼクティブ層が多く、決裁権限を持っている人が多い。BtoB事業者がこれまでビジネスパーソンにアプローチしようとする場合、経済系のメディアや屋外広告などを活用してきましたが、タクシー広告は、さらに「決裁する人」に限定し、効果的にアプローチできるターゲッティングメディアと言えます。
実際、ラクスルが運営する広告プラットフォーム事業「ノバセル」の広告を出稿してみて、特に今年の7月は集中的に放映してみたところ、放映前と比較して、リード獲得は329%、指名検索数は227%へと大幅に伸びました。この結果から、自信を持っておすすめできると考えています。
GROWTH×ノバセルのサービス概要
最新の「GROWTH」広告出稿事例集は下記よりご覧頂けます。
https://growth-tokyo.jp/casestudy/
三浦:加えて、タクシー広告はフリークエンシーが高い。都内のタクシーユーザーのうち、月に11回以上タクシーに乗車する人が約3割を占めているとも言われており、何度も目にすることで、認知も高まる傾向があります。
田部:実際、1カ月出稿し続けても、効果が伸び続けました。ここで言う出稿による効果とは2つあります。1つは、単純に問い合わせ数が増えること。もう1つは、決裁者の認知を取ることで、導入検討過程での稟議通過率が上がる、ということです。
BtoB商材の場合、単価が高く、ターゲットも狭い。決裁者に絞って、効率的に認知を高められるということは、タクシー広告単体で見ても、十分にビジネスインパクトがあると言えるのではないかと思います。
—事業提携で見えてきた「タクシー広告ならでは」のクリエイティブのポイントは?
田部:タクシー広告自体が目新しかった導入期は、管理職や経営者の危機意識を煽るようなクリエイティブが流行った時期もありました。今は、リラックスしたパーソナル空間を邪魔しないようなクリエイティブが、効果が出やすい傾向にあります。「目を引く」ためのテレビCMとは違い、視線がメディアに向きやすい環境の中で、音がなくても理解・共感できるという点が重要ではないかと思います。
三浦:効果が出た企業のクリエイティブをトレースするのではなく、タクシー広告単体で、メディア特性を見ながらクリエイティブも練っていく必要があると感じています。今回の事業提携で、効果検証まで一気通貫でサポートする体制が整ったところなので、データに基づく効果的なクリエイティブ戦略についても、今後検証・提案していきたいです。
—この事業提携を通じて、企業にどのような価値を提供していきたいですか。
田部:「効果の可視化」という観点を持った我々、プランニングエージェンシー側と、媒体社側のニューステクノロジーさんが協力することで、企業にとって「タクシー広告」というメディアそのものの可能性が広がるはず。
メディアプランニングの1つの割り当てとしてのタクシー広告ではなく、「関東で効率的にBtoBマーケティングを行うなら、まずはタクシー広告から」といった価値が生み出せれば。また、単価の低い商材のBtoC企業の場合、タクシー広告はROIが見合わないと思われがちですが、実はLTVが高く、売上ベースだと効果が高いのではないかという仮説もあります。この点も今後、検証していきたいです。
三浦:BtoCの高額商材などにも、活用の可能性を感じます。今後タクシー広告を1つのメディアとして確立し、定着させていくためにも、効果検証と振り返りができる「運用型のモビリティメディア」として、タクシー広告を活用してほしいです。
さらに、効果検証のノウハウを持ったラクスルさんと協業することで、タクシーサイネージに限らない、新しい媒体の開発にもつなげていけたらと考えています。
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