地域だからこそ、コンセプト(課題)をフォーカスできるはず!
この2つのソーシャルマーケティングの旗振りをしているのが、熊本市にあるブランディングカンパニー「PREO DESIGN」の代表・古庄伸吾氏である。古庄氏に取材をお願いした。
まずは、「みらいの食券」について「このサービスの開発は、2020年3月3日に募集開始して1週間で東京など全国からエンジニア、デザイナー、PR/広報、カスタマーサポートなど10人ほどのメンバーが集まりました。ZoomやSlackを使ってリモート開発を進めました」とのこと。古庄氏の想いと着想を全国のリソースを使って実現し、全国にリリースされた。「今後も、withコロナの中、試行錯誤している飲食店をサポートすべく、息の長いファンづくりのためのツールとして強化していきたい」。
「熊本おくりもんプロジェクト」については、こうだ。熊本の豪雨災害復旧において支援物資の調達と配分がうまくいっていない状況を鑑み、東日本大震災時での経験からつくられた「必要なひとに必要な支援を必要な分だけ」を気軽にできる事を実現するシステム「スマートサプライ」(一般社団法人Smart Supply Vision)を知り、直接掛け合い承諾を得て、そのシステムに県内の様々なボランティア組織を結びつけた。
復旧支援の力強いサポートを実現している。「豪雨災害の被災者の仮設住宅への入居が始まっており、今後は生活支援の物資調達サポートへとシフトしていきたい」と古庄氏は語る。
令和の時代は“課題解決”の時代と言っても過言ではない。新しい生活様式、災害対策、そして地方創生と、様々な課題に現場で立ち向かっていくことが求められる。課題解決を実現した企業、組織、地域が大きく伸びていくと考える。今回見てきたように、課題解決に向けて、地域発で全国からリソースを集めて課題解決に当たることが何の問題もなく実行できることが分かった。
上記の図が示すように、中央集権型→分散型へと仕事の在り方が大きくシフトしている。昨今のふるさと納税、クラウドファンディングといった動きも、分散型への傾向と読み解くことができる。分散型での成功のカギは、リソースを呼び寄せるネットワーク力と言える。
このことは、地域にとっては逆に大きな機会とも受け取れる。課題をフォーカスし、全国/世界からネットワークを活用しリソースを集め、地域で解決にあたる、その課題解決の実績、経験、ノウハウを蓄積することで、そこから新しい事業を展開する、そんな展望が開けていく。
最後に古庄氏からのこの言葉で締めたい。
「地域の課題は、地域でなければ解決できない!」