衛生、教育、デジタル化……コロナ禍であらわになった日米差(ゲスト:清水幹太)【後編】

日本でも話題となった医療従事者へのエールは本当なのか?

中村:もちろん日本人は多少“気にしい”なんだろうけど、ニューヨークは違うんですか。実感として。

清水:これは単純にニューヨークで暮らしていての感覚なんですが、ニューヨークというかアメリカで感染拡大がひどくなることは、何となく予測していたんですよね。なぜかというと、普通に生活をしていても、東京では絶対に南京虫がわいたりしないじゃないですか。

中村:ないですね。

清水:ただ、ニューヨークとかって衛生的に緩かったりとか、それこそいろんな人がいろんなところをベタベタ触ったり、衛生的にはよい環境とは言えないと、肌感覚としてありました。

そういった意味で「衛生管理がなっていない」っていうのは、実感としてあったんですよね。実は2月に東京出張に行っていて、そのときはクルーズ船が騒ぎになっていたころでした。東京もまだコンサートなどのエンタメも中止になったりはなかった時期ではあったんですけど、その段階で「あっ、これニューヨークきたらヤバいな」って思っていました。

澤本:へ~。

中村:アメリカは日本の3週間先をいっているという話も、聞こえてきたりします。ニューヨークは夕方くらいになると、市民から「がんばれ」みたいな喝采があがるとも聞いたんですけど。

清水:7時ですね。夜のね。

中村:夜の7時にどうなるんですか?

清水:拍手がはじまるんですよ。みんな窓を開けて、窓の外に向かって一斉に拍手をしはじめて。医療従事者だったり、エッセンシャルワーカーの人たちに感謝するんです。

大体3月末くらいにははじまっていた気がしますけど、みなさん家にこもっているんで、窓の外に向かって「サンキュー」って言ったりしていたのが、だんだんとバージョンアップして。鍋とかを持ち出して叩き始めたりする人がでてきたり、謎のブブゼラみたいな音がしたりとか。医療従事者への感謝を口実に、みんな盛り上がっているかなと。

中村:おもしろいですね。自然発生的なんだ。

清水:そうですね。あとは土曜日とかの同じ時間には、例えば『ニューヨーク・ニューヨーク』っていう、フランク・シナトラさんの曲がFacebookやラジオで一斉に流れて、それに合わせて合唱をするみたいな。そんな試みも行われていたりしますね。

澤本:Twitterを見ていると、本当と嘘がいっぱい書いてあるから分からないんですけど、例えばニューヨークの治安が悪くなったということは、本当なんですか。

清水:たぶん地域によるんですよ。私はマンハッタンの上の方に住んでいて、元々そんなに治安の悪い地域ではなく、ニューヨークって基本的に治安はいいんです。ただ、イーストヴィレッジだったり、もう少し下町っぽいところだと、例えば知り合いの店をやっている人は落書きされちゃったりとか。

あと、事務所はブルックリンにあるんですが、そっちの方の友達に聞くと、発砲が頻発していたりとかは聞きますね。

権八:へ~。

清水:実際はこれからじゃないですかね。やっぱり家賃払えなくなる人が出てくると思うんで。

中村:ちょっとした泥棒や窃盗などが起こってしまって、だんだんと治安が悪くなっていくと。

清水:そうですね。

中村:ネットフリックスで見れる、『コンテイジョン』って映画知ってます?

清水:はい、聞いたことあります。

権八:(スティーブン・)ソダーバーグだよね。

中村:そうそう。2011年につくられた映画なんだけど、たまたまというか、コロナウイルスとまったく同じ状況のウイルスの爆発的感染を描いた映画で。あの映画だと、最終的に市民が暴徒と化していましたからね。「こうなっちゃうのかな」って思ってみました。ニューヨークの保障とかはどうなんですか。

清水:1000ドル(日本円で約10万円)が振り込まれたりするらしいです。ただ、僕は条件にハマっているのかどうかがよく分からなくて。まだ来ていない。

移民でももらえている人はいるらしいんですが、移民と結婚したアメリカ人がもらえなかったりとか。ややトランプ的な意地悪は発生していると聞きますね。

次ページ 「気を遣いすぎな日本人!? NYからみた日本のコロナ対応」へ続く

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