衛生、教育、デジタル化……コロナ禍であらわになった日米差(ゲスト:清水幹太)【後編】

気を遣いすぎな日本人!? NYからみた日本のコロナ対応

澤本:ニューヨークの方々から、日本は今どういう風に見えていますか?

権八:それ、気になりますよね。

清水:それこそ日本がお花見とかをしていたころは、ちょうど自分が寝込んでいたんで、普通に「いいな」と思っていました。今は記事を書いてそれなりに反響を頂いたので、日本のメディアから取材を受けたりしますが、メディアの方は「日本これから危ないぞ」って、どうしても危機を煽る方に持っていこうとされるんですよね。

ただ、さっきも言ったように、私は東京に生まれてニューヨークに住んでいて、衛生面だったりは東京の方が全然洗練されていると元々感じていたりしています。もちろん油断してはいけないし、気を付けた方がいいし、僕の親なんかも東京にいるんで、「気を付けてね」とは言っています。

しかし、街全体の文化としては、ニューヨークよりリスクは少ないんじゃないかなって思います。政府がマスク配ったり、色々あるんだろうなとは思いながら、生温かく見ているところです。けど、一番心配なのは教育ですね。やっぱり。

権八:そうですよねえ。

清水:ニューヨークというか、アメリカの場合は学校が封鎖されてから1週間くらいで、タブレットを持っていない子には端末を配ってました。リモート教育プラットフォームをすぐに導入して、それをベースにリモート宿題を出すという感じで。

中国もしかりで、すぐに導入したって聞いています。一方、日本のお子さんがいらっしゃる友だちに聞いている限り、日本ではあんまりはじまっていないって。

中村:全然ですよ。

清水:子どもにとっての半年とか、後々デカいですから。それこそ10年後とかの国力に響いてくるのではないかと、ちょっと心配です。

中村:確かに。

権八:そうですよね。

澤本:そういうことを聞くと、やっぱり日本は遅れているんじゃないかと、危機感を持つんですよね。教育だけじゃなくて、テクノロジー的なことなんですけど。

清水:日本はやっぱりホスピタリティが高いっていうか、それこそリモートラーニングをするって言っても、「誰々のところはインターネットが通っていないでしょ」みたいな話だったり、すごい忖度してしまって合わせちゃうところがある。それに比べてニューヨークってグイグイで。ニューヨークというか、アメリカ全体がそうなんだと思うんですけど、「とにかくついて来い」みたいな感じなんですよね。

中村:「ついて来れないヤツは置いていくぞ」みたいな。

清水:そう。例えばリモート会議のソフトがセキュリティ上問題があるっていうニュースが出たりするじゃないですか。そうすると「来週からは別のリモートソフトウェアでやります」みたいな告知が来るんですよ。そういう対応がめっちゃ早いんですよね。

でもそうすると混乱して、お父さんお母さん世代はみんな怒るんですよ。「ふざけんな」と。怒るんだけど、振り回されっぷりに慣れているところがあって、ブーブー言いながらも対応していくところがありますね。

アメリカで暮らしていると、そうやって強引にテクノロジーが導入されることが肌感覚としてあります。強引に世の中が変わっていくので、ついて行かざるを得ないのが現実かもしれません。日本はそういった意味では、親切過ぎて結果的に遅れちゃっている感じはあるのは間違いないと思います。

中村:ああ、すげえ分かる。

澤本:間違いないんだ。

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