※本記事は株式会社マスメディアンの『advanced by massmedian』に掲載された記事を表示しています。
自分の人生を切り拓く力
現在23歳の仁禮さんは、中学2年生のときに起業し、高校1年生で自身の母校を買収しました。現在は慶應義塾大学総合政策学部に在学しながら、TimeLeapの代表として手腕を発揮しています。
TimeLeapでは、小学5年生~高校3年生までを対象としたオンライン起業家プログラム「TimeLeap Academy」を提供しています。このプログラムを通して本質的に育んでもらいたいのは「自分の人生を切り拓く力」だと仁禮さんは話します。
8カ月に及ぶプログラムでは、起業家や研究者、大学教授、アーティストなど、さまざまな分野でプロフェッショナルとして活躍している人が、メンター(指導者)として生徒たちにさまざまな“学び”を提供していきます。
「社会がどんな仕組みで成り立っているのか、自分の興味・関心が傾くテーマはなにかを前半でさまざまなメンターを通して探っていく。そうして、視野を広げていき、後半ではクラウドファンディングなどを活用して資金調達をしながら、実際に社会へ自分たちがアウトプットをしてみる。そして、フィードバックが返ってきて“社会のためになにができたのか”“自分たちにどんなことが生まれ、逆にどんな弊害を生んだのか”などを、体験を通して学んでいく」とプログラムの目的を説明します。
また、既存の学校教育だと「『自分にはどんなことができるのだろう』『どんなことに人の助けを借りれば、円滑に(事業が)回るのか』などを振り返ることも難しい。自分の情熱が傾く“なにか”に触れる多様な機会もなくて、すごく偏った学びしかできず、実践(する場)もないことに疑問を感じた。そこをしっかりとサポートできる機会を学校でつくれないのであれば、民間で提供するところから始めていきたかった」と思いを語ります。
カリキュラムが進むごとに、「自分たちでコミュニケーションのスタンスを改善しようと、Slack(ビジネスコミュニケーションツール)に新しいチャンネルをつくったり、『SNS運用をこういう発信でやってみたいんですけど、アカウントを開設してチームをつくっていいですか?』と言ってきたり、彼ら発信で主体的な動きが生まれてくるようになった」と手応えを感じている様子で語ります。
学校を楽しくしたい
仁禮さんが起業に至ったそもそものきっかけは、「学校を楽しくしたい」という思いから。「(学校に)長い時間をかけて通うのに『めちゃくちゃつまらないな』って思った。それを考えている過程で結果的に起業に至った」と振り返ります。
仁禮さんにとって楽しかった学びの場は、インターナショナルスクールの幼稚園のころ。「一人ひとりの考えをみんなで聞き合ったり、話し合ったりすることができる場所だった。それぞれの個性を活かして一緒に生きていくことを前提に、先生たちがたくさん質問をしてくれる環境だった」と言います。そこでは、“できない子がいれば、できる子が率先してサポートしてあげる”など、お互いに補い合う精神が育まれたそう。
しかし、小学校では「自分は英語がしゃべれたので、“みんなも英語がしゃべれるようになったらいいな”と思い、英語の授業のときに英語で話しかけようとした。すると、『みんなは英語がしゃべれないから、驚いてしまうし、英語で話しかけないように』と止められて。できることを隠さないといけないことに違和感があった」と話します。
それまで通っていた幼稚園との環境の違いに、大きなギャップを感じた仁禮さんは、「自分が通っていた幼稚園の“小学校版があればいいのに”と思った。それをかなえるために(通っていた幼稚園の)園長先生に会いに行って、いま通っている小学校の状況を話して『私はこの幼稚園のような小学校がほしいから(小学校を)つくってくれませんか?』ってお願いをした」と大胆な行動にでます。
当時、小学1年生だった仁禮さんの熱意に「園長先生は“教え子がわざわざやってきて『ここの教育が受けたい!』と言ってくれているのに、つくらないほうがおかしい”と思ってくれたみたいで、小学2年生のときにそこへ転入した。ここでの学びが、私にとっての“原点”になった」と声を大にします。
そういったプロセスを踏んでいくなかで、「日本の教育の課題や問題はどこにあるのか。(小学校では)“これは違うな”と感じて離れてしまったけど、なにが違和感だったのかはわからないまま。だから、その本質をちゃんと知りたい」との思いが芽生えながら中学に進学。しかし、受験に向かってひたすら勉強する中学での授業や環境に衝撃を受けた仁禮さんは「もっと社会勉強ができる“会社”という枠組みで、ものをつくっていくのがいいのではないかと思った」と話します。
そんな思いから、中学2年生のときに株式会社GLOPATHを設立しました。そこでは、学校コンサルや人材研修、CSR支援などを展開。そして、高校1年生のときに自身の母校である湘南インターナショナルスクールを買収し、運営を開始します。“買収”というワードから受けるイメージとは裏腹で、「小学校をつくってくれた園長先生や恩師と、これからの湘南インターナショナルスクールをどうしていくのが一番いいのか話し合った結果、“私の会社で運営する”というとてもハッピーな形だった」と仁禮さんは話します。
TimeLeapが目指すビジョン
そして2016年8月、湘南インターナショナルスクールの運営とは別に株式会社TimeLeapを新たに設立しました。そして2020年6月に「TimeLeap Academy」をローンチしました。
「現在はTimeLeap Academyでの新しい起業家教育の手段を使って、自己認識や自己表現の枠をどこまでつくれるか、というモデルをつくっている段階です。いまは学校とは別の時間に通う習い事の枠組みですけど、私たちの掲げるモデルケースがもっと一般化されていくことを目指している」と、TimeLeapが目指すビジョンについて前を向いて答えます。
コロナ禍で教育の現場も影響を受けているなか、ハヤカワさんは「アフターコロナで、教育システムはどのように変容していくのでしょうか?」と質問。それに仁禮さんは、「TimeLeap Academyでは、完全にオンラインに振り切った。そうすると移動の時間もないし、場所の必要もないし、全国のどこにいる子でもつながれる」とオンラインのメリットを挙げます。「あと、やってみてわかったのは、メンターが実施する授業は、オンラインの画面越しでも熱量がそのまま伝わる」と力を込めます。
とはいえ、課題も感じているそうで「問題は、彼らの考えを深掘りしてあげる、感情の起伏が生まれたときに寄り添ってあげる、などのメンタルの部分です。そこのケアを画面越しだけでやっていくのは、小学5年生~高校3年生という多感な時期だけに難しいなと思って……」と語ります。
そして、「誰かが近くにいてあげる必要があって、誰がオンラインでつながればいいのか。それらの役割がもっと明確になると、先生方の仕事が減ったり多様な人とつながりやすくなったり、質も向上して現場も安定して……ということがアフターコロナで起きたらいいな、とすごく思っています」と話していました。
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<番組概要>
番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mousou_tfm
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