広告のキャスティングエージェンシーである「ハンディ」は、テクノロジーを活用したタレントマッチング領域の新会社「ハンディデジタル」を9月23日に設立。代表取締役社長・コミュニケーション戦略プロデューサーとして大杉陽太氏、取締役/クリエイティブディレクターとして篠原誠氏(篠原誠事務所)が就任し、タレントキャスティングプラットフォーム「AI Casting SystemTM」のサービスを開始した。
新サービスは、ハンディがすでに開発済みのタレントキャスティングプラットフォーム「AI Casting SystemTM」をベースにしたもの。同システムには現在約1.5万人のタレントプロフィールデータが搭載されており、広告主や広告会社がタレントキャスティングする際、時間的コストを要する初動のリストアップ時間を大幅に短縮することで、効率的なクリエイティブ作業に移行することが可能になる。
篠原氏は、au「三太郎シリーズ」をはじめ、UQ 、家庭教師のトライ、トヨタイムズ、一番搾り、アタックゼロ、エステー、湖池屋など数多くの広告を手掛けているクリエイティブディレクターだ。これまでに俳優やタレントを起用したCMを数多く制作している。
そんな篠原氏が同社に参画した背景には、従来のキャスティングビジネスに課題を感じていたことがある。従来のキャスティング業務は、タレント情報の取得プロセスがほぼアナログ伝達のため、時間を要する上に一律的な情報を取得できないことが多かったからだ。
「企画する時、先にキャスティングを決めてから考える場合と、企画を決めてからキャスティングをあてはめていく場合があります。どちらの場合においても、キャスティングは、企画自体と同様にとても大切な部分。にもかかわらず、キャスティングには、確認作業も含めどうしても手間と時間がかかってしまい、結果、おざなりになりがちです。かと言って、ここに時間をかけてしまうと、企画自体に時間をかけることができなくなってしまいます」(篠原氏)
こうした課題を解決するには、2つのポイントがあると、篠原氏は指摘する。ひとつは、膨大なデータベースから自分が望む条件のキャストを簡単にスピーディに検索できること。もうひとつは、その情報自体が、リアルタイムなもの。つまり最新情報で構成されていること。
「誰にでも手軽に、誰にでも最適に求めているタレントを瞬時に正確に割り出せるサービスを提供することができれば、結果クリエイティブのクオリティアップが実現できる。企業はもちろん、制作者にとってもっと便利なキャスティングの武器になる」という考えのもと、篠原氏は同社に参画、開発に携わった。
同社では2021年3月をめどに、芸能事務所側からのオンライン入力に加え、独自のAIシステムにより自動的に様々なニュースやSNSなどにおけるタレントに関わる情報をリアルタイムに更新できるよう改良を図るとともに、AI解析によるタレント提案も行っていく予定だ。