※本記事は株式会社マスメディアンの『advanced by massmedian』に掲載された記事を表示しています。
3つのブランドを展開
長谷川さんは、およそ3年半にわたりFacebook Japanの代表取締役を務めていましたが、組織・ビジネスの伸長に一定の成果が見られたことを理由に、2019年8月に退任。そして、時を同じくして2019年8月にMOON-Xを設立しました。
現在、代表として手腕を振るうMOON-Xについて、長谷川さんは「日本のモノづくりとテクノロジーの融合を掲げた会社」と説明します。日本全国に素晴らしいモノづくりをしている人や会社がたくさんあるなか、情報発信がスムーズでないケースをよく目にしてきたと言います。
そこで、「僕らのようなインターネット業界出身の者が、そういった方たちとコラボレーションをしていいモノをつくっていただいて、それを僕らがブランディングする。テクノロジーを駆使しながら、それを提供していき、日本および世界中の消費者の皆さんの生活を豊かにしていくことを目指している」と理念を語ります。
現在展開しているブランドは3つ。1つ目は、クラフトビールのブランド「CRAFT X(クラフト エックス)」。これは、「常陸野(ひたちの)ネストビール」を展開している茨城県那珂市の「木内酒造」とのコラボレーションから生まれたブランドです。「『宮崎ひでじビール』など錚々たるブルワリーとのコラボレーションのなかで、質の高いクラフトビールを提供している」と胸を張ります。
2つ目は、男性用スキンケアブランド「SKIN X(スキンエックス)」。“スキンケア”と聞くと女性のアイテムと思われがちですが、「男性の肌って、女性の肌に比べて皮脂が約3倍だけど水分量は3分の1しかない。むしろ男性こそスキンケアをやらなければいけない。だからこそ、男性の肌と真っ直ぐに向き合ったブランドを展開している」と言います。
そして3つ目は、女性用スキンケアブランドの「BITOKA(美透花)」。長谷川さんは、過去にP&Gで10年間勤務していたこともあって、「日本生まれの、いい原材料を使ったスキンケアにすごく可能性を感じていた。だから、MOON-Xからそれを展開している」と話します。
MOON-Xが思い描くビジョン
日本のモノづくりとテクノロジーを融合させることで、どんなビジョンを思い描いているかというと、「つくり手とブランドオーナーである我々と、世界中の消費者の距離感がギュッと縮まる、そういう世界を夢見ている」と声を大にします。
手がけたブランドの商品が消費者のもとに届いて終わりではなく、「消費者のみなさんに使っていただくと、いろいろなことを実感されるので、フィードバックをモバイルで返していただく。その声を僕らがつくり手に返して、さらに製品が良くなっていって……ということを僕らはやろうとしている」と長谷川さん。
例えば、昨年11月にクラフトビールをテスト販売したときも、多くの消費者から届いたフィードバックをもとに、「3カ月後の今年2月に売ったビールでは、原材料や醸造方法などをチューニングしているんです。テクノロジーを使うと、つくり手とブランドオーナーと消費者との距離感がギュッと縮まっていく。そしてどんどんモノも良くなっていき、一緒にブランドを育てていく。そんな世界を僕らは妄想している」と、思いを語ります。
自身のキャリアから得た“気づき”
およそ3年半、代表取締役として在籍していたFacebook Japan。そこでの経験を「Instagramが急成長を遂げた時期を内側から見させてもらったことは、ものすごく貴重な経験だった」と振り返ります。
そしてもう1つ、長谷川さんにとって大きかったのは、その裏側にいる人たちの存在です。「Instagramを含め、Facebook社には、いろいろな国籍のいろいろな人たちがいます。みんな優秀なだけでなく、本当に性格も良くて、自分の人生を楽しんでいて。そういう人たちと一緒に仕事をするなかで、さまざまな刺激を受けた」と語ります。これらの経験も、自身にとって貴重な財産となったようです。
また、長谷川さんは父親の仕事の都合で2歳のときからアメリカのシアトルで過ごし、現地の学校に通学します。その後、9歳のときに兵庫県へ引っ越し。ライフスタイルや文化など、まったく異なる環境下で育ったことも、自身にとって大きな影響をもたらしたと言います。
そして社会人になって、シンガポールなど海外で仕事をしたことから、「グローバルな仕事をしたからこその“日本の良さ”が見えて、外から見たときの日本の魅力がわかった。僕らが日本に住んでいて普段生活していてアプリシエイト(感謝)するのを忘れているものも、海外の人は『やっぱり日本製は違うね』っていうリスペクトをいまだに持っている。このことは、大きな気づきだった」と長谷川さんは話します。
とはいえ、日本製というだけですべてのモノが評価されるわけではありません。「アップデートをしなければいけない。みなさんの現代的な感覚にちゃんとフィットするような形で提案する必要がある。それによって、新しい可能性が生まれるということもすごく大きな気づきでした」と話します。
D2Cのこれから
仲介業者を介さず、テクノロジーを駆使して商品をユーザーに直販する「D2C(ダイレクト・トゥ・ コンシューマー)」サービスで事業を展開する長谷川さんに、ハヤカワさんは“D2Cのこれから”を尋ねます。
長谷川さんはP&G時代、“コンシューマー・イズ・ボス”という顧客第一の考え方やアプローチの仕方を叩きこまれたそう。現代はパソコンやモバイルの普及が進み、「消費者と向き合うことがやりやすくなった」と話します。
続けて、「いまは直接つながれて、直接発信ができて、直接商品を買ってもらい、フィードバックももらえるようになった。世界で50億人以上の人がスマホを持っていて、それが生活の中心になっていく。今後はどんどんそれが浸透していくし、もしかしたらD2Cがコミュニティになるかもしれない」と妄想を膨らませます。
例えば、「クラフトビールが好きな人たちやその業界の人たちだったり、スキンケアに興味のある男性だったり……どんどん浸透していってコンシューマー(消費者)だけではなくて、コミュニティともつながっていくことは、1つのチャンク(ひとかたまりになったデータ)なのかなと思う」とも。
さらに、「そのトレンドがボーダレスになっていくのでは」と長谷川さんは予見します。Facebookのユーザーは20億人以上、Instagramのユーザーは50億人以上と言われているだけに「情報発信のあり方が、地域的な制約をどんどん越えていっている。そうなるとブランドサイドからの情報発信や消費者の皆さんからのフィードバックなども国境や地理的制約を越えて生まれてくると思う」と話していました。
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<番組概要>
番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mousou_tfm
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