僕がいま進めている研究テーマはワーケーション(ワーク×バケーション)をはじめとする新しい働き方、働く場所である。つまり、スタイルとプレイスを研究している。
ワーケーションに対して「休みに来ているのに仕事なんて…」「そんなことをして生産性が上がるのか?」「結局遊んでるだけじゃないの?」という声をよく聞く。いやいやそうではなくて…と、企業や地域の方々に説明することも多い。確かに実践するには課題も多いが、個人のキャリア、企業のイノベーションや人材育成、地域の活性化などさまざまな側面で可能性を持っている。
上田先生の『プレイフル・シンキング』には自分が言葉を費やして説明してきたことをズバッと言われてしまった。ワーケーションはプレイフルな実践であり、プレイフルな環境をつくること。そう考えるとすっきりする。
それにしても、プレイ(Play)はいい言葉だと思う。「遊ぶ」だけじゃなく、「演奏する」「演じる」とか「起動させる」という意味もある。「Play Yourself!」を掲げて自分を、企業を、地域をプレイする。ニューノーマルの働き方、働く場所を探るコンセプトとしてぴったりだと思う。
松下慶太(まつした・けいた)氏
関西大学社会学部教授
1977年神戸市生まれ。博士(文学)。京都大学文学研究科、フィンランド・タンペレ大学ハイパーメディア研究所研究員、ベルリン工科大学訪問研究員、実践女子大学人間社会学部などを経て現職。近年は特にコワーキング・スペース、ワーケーションなどモバイルメディア時代におけるワークプレイス・ワークスタイルをメディア論、都市論、コミュニケーション・デザインなどの視点から研究。近著に『モバイルメディア時代の働き方』など。