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この連載も、
残すところあと2回となりました。
そして、「褒めの表現」については
今回で最後となります。
寂しい。(ぼくだけ)
ということで、今回も表現の話です。
王道的な手法から、ニッチな手法まで、
織り交ぜてご紹介します。
まずは「競合との比較」。
これは、相手の魅力を、
広い意味での「競合」と並べて提示することで、
魅力を際立たせるやり方です。
さらにいうと、
この競合が強敵であればあるほどいいです。
ただし、この競合とは、
「誰か」のことではありません。
人との相対的な比較じゃない。
そうではなく、
「今、いいとされている価値観や観念」
です。
今回もやはりキャッチコピーを参考に
見ていきましょう。
モーレツからビューティフルへ
(富士ゼロックス)
そう。だれもが「モーレツ」に働いていた時代に、
「そうではなくて、ビューティフルだよ!」
と比較して言い切ってしまう強さ。
モノより思い出。
(日産セレナ)
はい、こちらも旧時代的な価値観を、
堂々と塗り替えようとしていますね。
しかも、両方とも断言しているのがいい。
言い切っている男前さ。
例えば、仕事のスピードが遅いと悩んでいる同僚がいたとしましょう。
「これからの仕事は、スピードより丁寧さだよ」
と言ってあげる。
これは一面では正しいかもしれないし、
状況によっては間違っているかもしれない。
(1秒をも急ぐ現場もあるでしょうから)
でも、まず大事なのは、
小さくても自信を持ってもらうこと。
丁寧な仕事に自信がついてきたら、
しかるべき局面で
「丁寧さに加えて、今回はちょっとスピードも加わると完璧」
などと伝えるといいでしょう。
つまりこの手法とは、
相手のマイナス面をポジ転換する
やり方でもあるのです。
つづいて「韻を踏む」。
韻を踏むように褒める。
ハッキリいうと、すごく高度です。
停滞はバッド。
変化はグッド。
(earth music&ecology)
バザールでござーる
(NEC)
高度だけど、イヤになるぐらい印象に残りますよね。
さらに、「バザールでごさーる」考案者の
佐藤雅彦さんいわく
「濁音は印象に残りやすい」
とのことですので、
濁音の入った韻を踏めたなら、
もう完璧です。
ですので、相手の魅力を証明する
単語を見つけたとき、
その単語に濁点が含まれていたら、
この手法を思い出してください。
逆にいうと、それ以外の局面では、
無理して使わなくてもいいです。
例えば、夫は「頑張り屋」だなと思ったとします。
この単語には、「が」と「ば」が入っていますね。
韻を踏むチャンスです。
「頑張り屋で、踏ん張り屋」
などと濁点満載で韻を踏むと、
印象に残ります。
さらに「遠回りな近道」という手法もあります。
ちょっとニッチですが、
面白い表現法です。
直接伝えるとありきたりになってしまうことを
遠回しに伝えることで、
そのもどかしさと「何を言っているんだろう?」
という疑問と共に印象に残します。
金沢に来るなら、
春か夏か秋か冬が
いいと思います。
(金沢市)
これが直線的な表現だったら、
どうなっていたでしょうか。
「金沢は、一年中おすすめ。」
とかになるでしょう。
でも、遠回りをすることにより、
「春」「夏「秋」「冬」という
豊潤な言葉たちを拾えています。
結果、「金沢は年中最高!」という
メッセージを、直接伝えるよりも
早い伝達スピードで伝えています。
そう、「遠回りすることによる近道」なのです。
これは、再発見系のホメ出しにおいて有効です。
相手が言われ飽きているかもしれない
褒めにおいて使ってみる。
例えば面倒見のいい後輩に対して、
「面倒見がいいよ!」
と近道するのではなく、
「父性と母性、両方あるよね!僕の両親になってほしい」
と、遠回りする。
まどろっこしいんだけど、その分鮮やかに相手の魅力を指摘する。
やっぱりニッチな手法ではあります。
でも、こういう一手も持っておくと、
褒め手が増えて悪いことはないでしょう。
さて、いよいよ最後の表現法です。
「みんなが天才」。
これは、知られざる相手の天才を見抜き、
「○○の天才!」
と伝えることです。
「相手を優しく包み込む天才!」
「集中力の天才!」
「読書の天才!」
あなたが、相手のここは本当にすごいな、
と思ったら迷わず言ってください。
「天才!と。
すべての人は、
何らかの天才なのです。
ちなみにこの手法をキャッチコピーにしたら
こうなります。
女の子は、
ふりだしに戻る
名人だから。
(earth music&ecology)
うおお…名コピー。
ということで、10個以上の
褒めの表現について、
3回に渡ってお伝えしてきました。
「何を伝えるか」が大事だけど。
「どう伝えるか」も奥が深いですよね。
では、次回はいよいよ最終回です。
また来週!