プレイフルエンジンが導く未来へのドライブ — 『プレイフル・シンキング』に寄せて(池末信)

お気に入りのスーツで決めてチケットを握り締めコンサート会場に入る。自分の席を探して座りワクワクしコンサートの始まりを待つ。痛烈な照明と共にコンサートはスタートし普段の生活を一時忘れ美しいメロディーや魂を揺るがすビートに身を任せる。暫くすると憧れのスターが語りかける。まるでミシェランの星付きレストランのコース料理のような最高の時間。

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上田信行著の『プレイフル・シンキング』はまさに上質なコンサートをデザインするためのエンジンが満載されている。

私はアーティストとしての活動と教育の仕事を行なって来た。高校生の時は授業はろくに聞かずに勉強もろくにしなかった。しかしアメリカボストンにあるバークリー音楽大学では夢中になって勉強した。

何が違ったのだろう?自分自身がゴールを設定する、自分にあったレベル、美しいスタジオやニューイングランドの街の景色、失敗を受容してくれる言葉、世界的に活躍する講師陣。上手く行くかなんて気にしないで出来ない事でさえ楽しかった。

僕の留学はまさにこの本にあるプレイフル・シンキングの要素があったように思う。

僕はこの本をより質の高いコンサートのデザインを望むアーティストと教育関係者にもお奨めしたい。

僕等が関わるお客さまや生徒たちにそれぞれの輝く”自分達の場”をもし提供出来たら彼らは喜び、それは必ず僕たちに返って来て喜びの循環が生まれる。

なんでコンサートが盛り上がらない(今日の客はノリが悪い)、生徒は眠っている(今時の若者は無気力)。それはコンサートや授業がプレイフルではないからである。

決して自分の力だけでは苦しみや悲しみを乗り越えられないとは僕は信じている。しかしこの本の中のプレイフルエンジンにより、時として命をかけて守りたいような笑顔に出会える未来へのドライブ(旅)が出来ると感じた。

池末信(いけすえ・しん)氏
滋慶学園コムグループ副校長、有限会社ソウルマティックス代表。

Celebrating David Bowie,Janet Jackson ,世界的なDJ Tchami等ジャンルを越え世界のトップアーティスト、プロデューサーから指名される日本を代表するゴスペルグループThe Soulmatics 主宰。2020年、オリジナル楽曲”We Are All One”がインドネシアで行われる世界的なカーニバルJember Fashion Carnavalのテーマソングに選ばれる。

 

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