誰だって、ワクワクしたい。病があり死が迫っていたとしても。誰かと何かと関わりながら、不確かな未来が恐怖ではなく喜びに満ちた世界であるように願う。「病気は回復過程である。」「看護はart(芸術)である。」F・ナイチンゲールは記す。「学びはartifact(建築)である。」上田信行は述べる。揺れ動く自分と状況をライブで営んでいく日々である。
病は敵ではない。その人の中心に発生するその人自身である。疾病を診断するのは医師だが、」病を規定するのは、ほかならぬ自分自身である。症状は苦痛ではない。死ぬことは「終わり」ではない。死ぬことが怖くはないといったら嘘になるけれども、涙が出ても出なくても、私たちは抱きしめ合うことができる。
看護師は、最高の人生であったと最期まで言い続けられると信じている。必ず、「私の病は感動に満ちて美しかったのだ」と感じてもらえるように、覚悟を持って本気で看護に挑む。人々がリズムを刻む生命に意味を見出す。そうすれば、病と看護がプレイフルになる。
片山由加里(かたやま・ゆかり)氏
同志社女子大学看護学部准教授/社会学士、保健学修士、看護学博士
京都府立医科大学附属病院に看護師として勤務後、大阪大学大学院医学系研究科修了。2015年4月、同志社女子大学看護学部開設に着任し、基礎看護学領域を担当。看護行為における感情と思考をテーマに、臨床実践知の卓越性についての顕在化を試みている。代表的な研究は「看護師の感情労働測定尺度の開発」、「看護師の口述による患者像と臨床判断」。2020年、Playful Nursing研究会を立ち上げ、看護領域のプレイフルについて探求している。