グッドデザイン大賞に自律分散型水循環システム「WOTA BOX」、SDGs関連に評価

公開日2020.10.30

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2020年度グッドデザイン賞（主催：日本デザイン振興会）は10月30日、「大賞」「金賞」「グッドフォーカス賞」の受賞結果を発表した。2020年を象徴するデザインである「グッドデザイン大賞」を受賞したのは、WOTAの自律分散型水循環システム「WOTA BOX」だ。

WOTAは2014年に設立。22世紀に向けた「ライフラインの民主化」を目指している。水処理装置の製造・開発を手がけており、AI技術を使って2019年11月に「WOTA BOX」の出荷を開始した。「WOTA BOX」は生活排水を98%以上再利用し、上下水道いらずでシャワーや手洗い、洗濯など水利用ができる。世界初の「持ち運べる水再生処理プラント」として被災地などでも活用されている。

本年度の「グッドデザイン金賞」に選ばれた20件の中から、大賞候補となったファイナリストは「WOTA BOX」を含めて5件（以下、得票が多かった順）。

・宿泊施設 [まれびとの家]
／VUILD

・plan [Design Movement on Campus]
／Taiwan Design Research Institute

・サーキュラーエコノミー [BRING]
／日本環境設計

・ウェブサイト [東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト]
／東京都

この中から、本年度グッドデザイン賞審査委員とグッドデザイン賞受賞者による投票を実施。「WOTA BOX」と「VUILD」の決戦投票を経て「WOTA BOX」が大賞に選出された。

WOTA 代表の前田瑶介氏は、「2020年に入り、“自律分散型”の水循環システムという在り方が社会的なコンセンサスを得てきたのを感じている。これを足がかりに、ますます水問題の解決に取り組みたい。水が貴重だと日本だと感じる機会は少ないかもしれないが、水資源の貴重さを訴えていけるようなデザインを提案していきたい」と受賞の喜びを語った。

（左から）齋藤精一副審査委員長、大賞を受賞したWOTA 代表の前田瑶介氏、安次富隆審査委員長。

このほか、グッドデザイン金賞に日本環境設計、テラサイクルなどSDGs関連のエントリーが選ばれているというのが本年度の大きな傾向だ。安次富隆審査委員長は「その傾向の象徴的な取り組みが『WOTA BOX』。消費するだけでなく、循環を生み出すという地球環境に本来備わっているシステムを人工的に作り出すというのが、SDGsに対してデザインが貢献できること。人間自身も本来は水ででてきており、最も地球上で欠かせない“水”の不足に対する課題解決の方法を示した」と評した。

齋藤精一副審査委員長も「地球自体が持続可能であるために、われわれ人類が社会全体でSDGsを実装していく必要がある。そのなかで“水”を切り口に、大きなゲームチェンジを起こした取り組みが大賞に選ばれた。世界の問題に対し、グッドデザイン賞からこのような取り組みを送り出すことができたというのは大きな意義がある」と総括した。

受賞作品を見ることができる「グッドデザイン・ベスト100」は11月3日まで、また「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」受賞展は11月8日まで東京・六本木東京ミッドタウン各所にて開催中。11月2日からは、東京・丸の内のGOOD DESIGN Marunouchiで今年度の審査委員84人が選んだ「お気に入り」の受賞デザインを紹介する企画展「私の選んだ一品」が開催される。

※ファイナリスト以外の金賞受賞作品は以下の通り。

・Toothpaste [O’right Toothpaste No. Zero]
／Hair O’right International Corporation