D2Cビジネスによるパーソナライズドブランド「MEDULLA」「HOTARU PERSONALIZED」を運営するSpartyで取締役COOを務める榊原幸佑氏に話を聞いた。
※月刊『宣伝会議』12月号(10月30日発売)では「戦略策定から社内調整まで DX・データ利活用」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。
顧客のフィードバックを基にパーソナライズされた商品を提供
Spartyは、オンラインで質問に答えるだけで悩みに応じたパーソナライズドシャンプーが届くサービス「MEDULLA」を2018年に開始。2020年にはパーソナライズドスキンケアブランド「HOTARU PERSONALIZED」を立ち上げ注目を集めている。
D2Cブランドである同社は、定期的に商品が届くサブスクリプション型のビジネスモデルを採用。特徴的なのは、次の商品を届ける前にユーザーから商品に対するフィードバックを取得していることだ。
初回購入時は、ユーザーが髪や肌の悩みに関する質問項目に回答をすることで悩みに適した商品が選択される。そして、その商品の使用後、次の商品を発送する前にWeb上で「今回の商品の満足度」「髪の長さなどのスタイルに変化があったか」などをヒアリングし、そのフィードバックデータによって処方や組み合わせを変更するなど、よりパーソナライズされた商品を提供する仕組みを構築しているのだ。
取締役COOの榊原幸佑氏は、このフィードバックデータがビジネスの肝だという。
「小売店で販売される一般的なリテール商品の場合、商品に対する顧客の評価を取得するのは難しい。アンケートはとれますが、必ずしも回答が正直な気持ちを表しているとは限りません。しかし当社の場合、次に届く商品の処方に関わるので、正直な回答が得やすいのです」。
このフィードバックデータは同社のビジネス戦略においても非常に重要な役割を担う【図表1】。
「リテール商品の場合、一人ひとりの顧客に対してアプローチすることは販売前も販売後もできませんでした。この課題を解決したのがWeb通販。購入を促すためのプランを立て、広告活動を実施し、顧客を獲得し、その結果を検証するPDCAサイクルを回します。
しかし、Web通販におけるPDCAサイクルはあくまで購入までの段階に限られます。
当社のようなサブスクリプションモデルはここから一歩先に進み、Web通販同様に販売前にPDCAを回すことで初期購入を促し、さらには販売後にもユーザーから得たフィードバックデータを基に商品の検証を行い、処方の変更といったロジックを再構築。コミュニケーションだけでなく、商品についても、より個々人に適したものを提供するためのPDCAを回すことで継続的な購買を後押しできるのです。
これは、商品の企画・製造から販売まで、すべてを自社で行っているD2Cだからこそ可能であり、さらにパーソナライズするために複数種類の商品を持つ当社ならではの戦略だと考えています」と榊原氏は話す。
—本記事の続きは月刊『宣伝会議』12月号(10月30日発売)に掲載しています。
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Sparty
取締役COO
榊原幸佑氏
1989年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。博報堂にて営業職を経て、WHILLに参画し、営業・マーケティング・製造管理に従事。2017年に代表取締役の深山陽介氏とSpartyを創業。
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