アートディレクター、デザイナーとして、多岐に渡る分野で新しい時代を切り開きつつ世界を舞台に活躍した、石岡瑛子(1938~2012)の世界初となる大規模な回顧展「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が、11月14日から東京都現代美術館で始まる。
石岡は東京藝術大学卒業後、1961年に資生堂宣伝部入社。社会現象となった前田美波里を起用したポスターなどで頭角を現し独立。70年代にはパルコ、角川文庫などの数々の歴史的な広告を手がけている。
1980年代初頭に拠点をニューヨークに移し、映画、オペラ、サーカス、演劇、ミュージック・ビデオなど、多岐にわたる分野で活躍。マイルス・デイヴィス、レニ・リフェンシュタール、フランシス・フォード・コッポラ、ビョーク、ターセム・シンら名だたる表現者たちと多くの仕事を残している。
マイルス・デイヴィス『TUTU』のジャケットデザインでグラミー賞受賞(1987)、映画『ドラキュラ』の衣装でアカデミー賞衣装デザイン賞受賞(1993)。2008年北京オリンピック開会式では、衣装デザインを担当した。2012年逝去。作品集に『EIKO BY EIKO』『EIKO ON STAGE』、著作に『私デザイン』他がある。
本展は、「Timeless:時代をデザインする」「Fearless:出会いをデザインする」「Borderless:未知をデザインする」の三部構成となる
「Timeless」では、資生堂、角川書店、パルコ広告キャンペーン、角川書店『野性時代』といったグラフィック、エディトリアル、プロダクト等のデザインを紹介。
「Fearless」では、クリエイターたちとの新たな出会いによって、日本から世界へと活動の場を広げるとともに、グラフィックデザイン、アートディレクション、衣装デザイン、さらにはプロダクションデザインと、デザインの表現領域を超えていったプロジェクトを、デザインのプロセスを示す膨大な資料とともに紹介する。
そして「Borderless」では、オペラや映画、サーカスのコスチュームやオリンピックのユニフォームを通して、身体を拡張し、民族、時代、地域などの個別的な属性を乗り越えた、未知の視覚領域をデザインした仕事を総覧する。このコーナーでは、石岡デザインによる、世界各国のアーカイブから集められた映画・舞台衣装も展示される。
展覧会タイトルは、世界グラフィックデザイン会議での石岡の発言から名付けられた。
血がデザインできるか、汗がデザインできるか、涙がデザインできるか。・・・別の言い方をするならば、「感情をデザインできるか」ということです。・・・私の中の熱気を、観客にデザインというボキャブラリーでどのように伝えることができるだろう。いつもそのように考えているわけです。(石岡瑛子 世界グラフィックデザイン会議での講演より 2003年)
会期は2021年2月14日まで。また、12月からはギンザ・グラフィックギャラリーでも「SURVIVE – EIKO ISHIOKA/石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」が開催される。
会期:11月14日(土)~2021年2月14日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/地下2F
休館日:月曜日(11月23日、2021 年1月11日は開館)、11月24日、12月28日〜2021年1月1日、1月12日
開館時間:10時~18時(展示室入場は閉館の30分前まで)
観覧料:一般 1,800円/大学生・専門学校生・65歳以上 1,300円/中高生 700円/小学生以下無料