ロンドンに拠点を置く非営利団体D&ADは、本年度のD&AD賞の受賞作品をまとめた「2020年度 D&AD賞デジタル年鑑」を、11月16日に公開した。本という形ではなく、デジタル・プラットフォームのみでアニュアルを制作するのは、D&ADとして初となる。
デジタル年鑑はD&ADのWebサイトから無料で閲覧でき、誰でも利用可能だ。
ここに掲載されているのは、1000以上の受賞作品や最終選考に残った作品。それぞれ受賞レベル、カテゴリー、分野、国別に紹介している。
この年鑑では、従来の印刷版では不可能だった映像作品が視聴可能になっている。受賞作品はもちろんのこと、作品を評価する際の審査員の議論やインタビュー、そして今年最も話題になった作品を制作したクリエイターたちとのビハインド・ザ・ワーク・セッションを収録した46本のビデオが公開されている。
日本からのコンテンツとしては、佐藤雅彦氏+ユーフラテスによる受賞作品「Shadows as Athletes」についての解説インタビュー動画、プレジデントアワードを受賞した古川裕也氏(電通)のインタビュー記事(テキスト)を見ることができる。
また、コンサルティング会社 Neighbourhoodと協力して、今年の作品全体に共通するテーマを検証し、そこから重要な学びを引き出すべくレポートも掲載している。
デジタル年鑑のデザインを手がけるのは、オランダのデザインスタジオ、Studio Dumbar。物理的な本に目を通すようなセレンディピティを再現するために、メインのインターフェイスにはクリエイティブな作品がランダムかつ⺠主的に表示され、新しい作品の発見を促進するものとなっている。
「素晴らしい作品をナビゲートし、探索するための多くの方法を提供することができます。私たちが目指したのは、プラットフォームがインスピレーションの源となり、素晴らしいデザインを紹介するだけでなく、訪問者が新しい作品を探索したり発見したりできるようにすることでした。すべてはイマジン・エヴリシングの精神に基づいています」と、Studio Dumbarはコメントしている。
D&ADオペレーディングオフィサー Dara Lynch氏は「デジタル年鑑は、より多様なオーディエンスへのリーチ、新たな方法での才能の発掘、二酸化炭素排出量の削減によるより持続可能な未来への貢献というD&ADの最優先事項をよりよく達成することを可能にしています」と語っている。