渋谷・名古屋・心斎橋の各パルコにて、12月より、注目の現代詩人・最果タヒの“詩の展示”が行われる。至る所に詩が展開された空間を、読者が歩き回って体験するインスタレーション形式の展示が特徴で、会場には、最果タヒによる「詩になる直前」の言葉たちが展示されている。それらを追いかける体験を通じ、自分の心が動く言葉やその瞬間、あるいは目が無意識に読んでいる感覚に気づくような、言葉との新たな出会いを生む仕掛けになっている。
巡回展の最初の会場は渋谷パルコ4階 パルコミュージアムトーキョーで、12月4日~12月20日にわたって行われる。各会場では、展覧会併設ショップにてオリジナルグッズも販売する。
最果タヒ メッセージ
言葉は、常に運動をしている。何億人もの人がその言葉を用い、それでいて、それぞれが少しずつ違った意味や印象を、言葉の向こうに見出している。だからこそ言葉は、刻々と変化し、運動を続けている。
わたし一人が、言葉を一方的に、道具として用いることなどできず、常に、言葉が抱える無数の意味や価値の渦に巻き込まれていく。そのコントロールのできなさ、言葉に振り回される瞬間に、わたしは「言葉に書かされている」と感じます。それは時に、わたしよりも深く「わたし」を捉える言葉となる、わたしを飛び越えた、別の何かへと変貌する言葉となる、それこそが、わたしにとっての「書く喜び」です。言葉がわたしの代弁者として、世界へ出ることなどありません。わたしはいつも置き去りにされ、それこそが痛快であるのです。
知らない自分に、言葉で会うこと。それは、自分の底さえ突き破り、その向こうの、自分ですらないものへと、繋がることだ。だからこそ言葉は、書かれ、他の誰かに読まれることをじっとじっと待っている。
詩の展示。
言葉が、わたしを飛び越える。
それは、「読む」瞬間もきっと同じです。読むことは、与えられた言葉を受動的に読むのではなく、その言葉を自分だけの言葉へと変容させていく行為だと思う。そのとき、言葉の変化は、読むその人の予想を、そしてその人自身を、時に追い越していくだろう。それは「書かれた言葉」のスピードであると、読み手は思うのかもしれない。けれど、あなたも加速している、あなたの言葉が、加速している。そのスピードを、肌で、気配で、空間として、感じられる場所を、私は「詩の展示」と呼んでいます。
われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。あなたしか立つことのできない確かな星から、どうか、言葉を見に来てください。
展示概要
「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」
≪ 渋谷 ≫
渋谷パルコ 4階 パルコミュージアムトーキョー
2020年12月4日~12月20日
11:00〜21:00
会期中休館日なし
≪ 名古屋 ≫
名古屋パルコ 西館6階 パルコギャラリー
2021年2月13日~2月28日
※2/17(水)休館日
≪ 大阪 ≫
心斎橋パルコ 14階 パルコイベントホール
2021年3月5日~3月21日
会期中休館日なし
入場料:一般800円、ミニ本付チケット1,800円