【前回コラム】「超高齢化社会にコンビニはどう立ち向かう?新たな役割の登場で広がる可能性」はこちら
変わる来客の流れ コンビニ24時間営業の是非
年に数回、東京のベットタウンの駅前立地の違うコンビニチェーン2店舗で深夜勤務をさせて頂いている。私がコンビニ店長だったバブル末期の1990年あたりには月の半分は様々な店舗で深夜勤務をしていたが、この30年で全く来客の流れは変わってしまったと感じている。
今ではコンプライアンス上、不可能だとも思われる「24時間戦えますか」のテレビCMが頻繁に流れていたバブル期の大都市圏では、終電前後には酔客や仕事帰り客がひっきりなしのレジ対応となっていた。しかし今は夕方から満遍なくの来店で、当時のようなラッシュになる店は減っているのは間違いない。
またアルバイトには、バンドなど夢を追う若いフリーター、車のローンを払うために働く大学生なども集まり、深夜コンビニの灯りは若者文化の象徴だった。今は、終電後ぱたりと来客が無くなる店も増えてきて、24時間営業の必要性が人手不足や経営効率上の問題でクローズアップされてきた。
ただし、深夜における配送や店内の清掃、納品の整理などは効率的ではあることと、コロナ禍により有効求人倍率が下がっていて、最低自給に近いコンビニのアルバイト雇用は回復するという皮肉な状況にもあり、コンビニの夜間閉店の流れは一時ストップしている状況ともなっている。
一方、大都市圏では終電時間短縮などの流れもあり、来客が少ない深夜の時間帯がさらに長くなると思われ、「来客の少ない時間に店舗を空けておくのは無駄」との考え方もあり、コンビニの深夜営業については、今後数年は一進一退の展開となっていきそうだ。
行政の関わりが必須だが、病院の休日検診のようなエリアによる深夜営業の輪番制などの介入が必要なのかもしれない。
前回のコラムでも触れたが、深夜の来客が減る一方、早朝は高齢化の影響もあり、4時ぐらいから6時台にはシニアの来客が増えていて、コンビニが完全に若者の店からシニアの店に移行している状況にある。
24時間営業の見直しで深夜の閉店が仮に増えるとしても、早朝のシニアからのオープンのニーズは増えていくだろう。
深夜のアルバイトの雇用に対して、早朝は店舗近隣居住者での雇用を増やしていくしかなく、シニア雇用がその中心となると考えられる。
シニアはコンビニのアルバイトに対して、レジ操作の難易度に抵抗のある場合も多いため、その場合、接客はセルフレジのみの展開とし、シニアアルバイトは清掃や納品の片付けなど限られた業務のみを展開するという新しい店舗運営スタイルが生まれてくるのかもしれない。
求められるコロナ禍での販売促進
コロナ禍のニューノーマルによる在宅勤務の定着で、ビジネス立地の店舗は、基本的にはコロナ前の売上の70〜80%でしばらくは推移していくと考えられる。コンビニの場合、家賃は本部が負担する場合がほとんどとはいえ、ビジネス立地のオーナーは従業員の雇用など、コロナ禍の売上に見合った経営への転換が求められている。
住宅立地の店舗においては高齢化もあり日常使いの店舗への変化が必須だ。ウィズコロナ時代の今、冷凍食品、家飲み関連のアルコールや乾き物つまみ、カウンターフード、スイーツなどが販売好調である。コンビニは定価で高いという顧客イメージを変えるべく、実はおトクなPB(プライベートブランド)の商品の告知や更なる充実など商品戦略の変更が加速している。
本部支援を前提とする、ウィズコロナに合わせたレイアウト変更など、速やかな対応が求められるのだ。
日本式コンビニは、誕生から46年を迎え顧客ニーズに合わせて変化対応してきたが、このコロナは最も大きな変化が必要な状況となっている。
もちろん、これはコンビニに限らず社会全体の事であるのだが。