ファンの心をつかむ28種類のラインナップ
鬼滅缶の特徴のひとつは、その種類の多さだ。45周年を迎えた「ダイドーブレンド ダイドーブレンドコーヒーオリジナル」(12種)、「ダイドーブレンド 絶品微糖」(8種)、「ダイドーブレンド 絶品カフェオレ」(8種)の計3商品全28種類にも及ぶ。
28種類の中には、主要キャラクターの炭治郎や禰豆子たちはもちろんのこと、鬼殺隊の「柱」の9人全員が登場。我妻善逸の鎹雀(かすがいすずめ)であるチュン太郎までいる。“推しキャラ”がいる鬼滅ファンにとってはうれしいポイントだ。他社の鬼滅コラボ商品が増えることも予測し、幅広いキャラクターを入れる事で、「鬼滅缶」の存在感を高める狙いもあった。
パッケージデザインもファンの心をつかむ工夫を施した。描き下ろしイラストではなくアニメの場面写真を使用することで、「この缶はあそこのシーンだ」と名場面を振り返る楽しみも生まれる。
こうして、発売直後から注目を浴びた「鬼滅缶」。狙い通り、コアターゲットとして設定した20~30代の購入者が多く、ブランド全体の20~30代の比率も上昇。「普段コーヒーをあまり飲まないけど買った」「箱買いしてしまった」という声も挙がっている。
土屋氏は「最初は女性や10~20代の鬼滅ファンの反応が良かったのか、販売開始から1~2週間はコーヒーを飲まない人でも手が出しやすい『絶品 カフェオレ』が好調。現在は『絶品 微糖』が逆転してきており、男性や30代以上など、普段からコーヒーを愛飲している方へも広がってきているのでは」と分析した。
ライトなファンも取り込むテレビCM
「鬼滅缶」の発売日から全国でオンエアしているテレビCM(「28種の鬼滅缶。篇」など)も話題だ。安田顕、井浦新、満島真之介の3人が演じる「地球防衛プロジェクトチーム」が、仕事の合間の休憩で気分転換する姿を描いている。炭治郎になりきり「全集中!労いの呼吸!」と渾身のパワーでセリフを言い放つ安田、伊之助のごとく走り去る満島、そんな姿を優しく見守る井浦の、絶妙なやり取りが楽しめる。
このCMについて土屋氏は、「売上増を目指すにはコアなファンの支持だけでは難しいと思っていた。もう少しライトなファンをいかに取り込むかという点で、『最近鬼滅を知った』という人がつい行動したくなるような、共感を呼ぶ設定を意識した」と語る。
他社にはないユニークな景品でリピーターを増やす
また、ユニークな景品が当たるキャンペーンやコラボレーション企画も複数展開し、ファンの購買意欲を高めている。「28種の鬼滅缶発売記念!Twitterフォロー&リツイートキャンペーン」(対象期間:2020年10月5日~10月12日)は、抽選で炭治郎の声優を務める花江夏樹の直筆サイン入り「ダイドーブレンド 絶品微糖」などが当たる企画。「必ず聴ける!オリジナル励ましボイス」(対象期間:2020年10月5日~12月18日)では、缶のデザインごとに異なる全28種のオリジナル励ましボイスが楽しめる。
禰豆子がくわえている竹筒をモチーフにした「『禰豆子の竹筒スピーカー』プレゼントキャンペーン」(対象期間:2020年10月5日~12月18日)は、本物の竹で制作したスピーカーがSNSでも注目を集めている。また、「Smile STAND『みんな de 週末ご褒美キャンペーン第3弾』(対象期間:2020年10月5日~11月29日)では、対象の自動販売機で商品を購入し条件を満たすと、鬼滅の刃オリジナル QUOカード Pay(300円分)が当たる。
土屋氏は「これまでにない、他社のタイアップでは見たことがないような景品を用意することで、2本目3本目を買う動機づけをして、将来的には習慣化してもらうことが狙い。今回のキャンペーンをきっかけにアプリをダウンロードした方や公式Twitterのフォロワーになった方に向け、今後も情報発信やブランド価値を訴求していくことで、さらなる定着につなげたい」と話す。