2022年8月26日から9月4日にかけて、神戸市で世界パラ陸上競技選手権大会が開催される。11月27日、その公式ロゴマークが発表された。6月から7月にかけてコンペを実施し、国内で選定委員会を開催。国際パラリンピック委員会での最終決定を経て、アシタノシカク(大阪市)のアートディレクター、ヨシ中谷氏の案が選ばれた。
ロゴマークは神戸の海の「青」、山の「緑」、名所であるポートタワーの「赤」を基調とし、海洋博物館などさまざまな神戸のシンボルが盛り込まれている。コンセプトは「躍動感と多様性」で、スポーツを通じた平和と多様性の波を感じてほしいというポジティブなメッセージを込めた。
「スポーツの発展とともにパラスポーツにある多様な価値観を描いています。伸びやかで自由なラインによってスポーツの躍動感を、カラフルなカラーリングによって共存し調和する価値観を表しています」と中谷氏は説明する。
あわせて大会キービジュアルも発表。任意のサイズでトリミングすることで、媒体ごとに展開可能となる。競技会場や市街地の装飾、入場チケットやメダルのデザインなどにも活かすことを今後検討していく。一般への使用許諾は、2021年春頃からの予定。
「コンペのあった6月末ごろはコロナの影響で僕自身の仕事も半分くらいになり、世の中が暗くなっていたからこそ“ポジティブな希望のある波を”という思いがあった。そこで神戸を中心に海でつながる地球を描きました。多様な価値観を持つ人たちがつながり、調和してほしいという思いを込めています」と中谷氏。
同大会組織委員会の増田明美会長も「素晴らしいロゴができました。パラスポーツは見たり支えたりするなかで多様性の素晴らしさに触れ、生きる喜びを実感できるなど社会にいい影響を与える。選手が競技に取り組む姿もとてもかっこいいです。東京オリンピック・パラリンピックの勢いをそのまま神戸につないでいければ」と記者会見でコメントした。
世界パラ陸上は隔年で開かれているが、東アジアでの開催は初となる。当初は2021年9月を予定していたが新型コロナウイルスの影響で1年延期となった。
中谷氏は1984年大阪生まれ、大阪芸術大学卒業。すきあいたいヤバい(元ロックンロール食堂)を経て、2015年アシタノシカク入社。2019年から大阪美術専門学校非常勤講師を務める。主な仕事に日本博を契機とした「障害者の文化芸術フェスティバル」(グランドオープニング)、中之島香雪美術館「上方界隈、絵師済々Ⅰ」、日比谷花壇「The HK Wedding」、コーヒースタンド「LiLo COFFEE ROASTERS」、神戸市広報紙「ひらこうKOBE」など。