日本デザイン振興会は、三菱総合研究所と共同で日本企業における企業経営へのデザイン活用度調査を実施し、11月24日、調査結果を発表。「デザイン経営」に積極的な企業ほど高い売上成長を実現し、従業員からも顧客からも愛される傾向にあると分析した。
2018年5月に経済産業省および特許庁によって発表された「『デザイン経営』宣言」では、「デザイン経営」を“デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する経営である”と定義している。
本調査は、デザイン経営に取組む企業の活動データを示し、デザイン経営がどのように機能しているかを可視化することで、デザイン経営の一層の促進を図ることを目的としており、全国規模では初めてとなる。
調査にあたり、三菱総合研究所のほか、同振興会の理事でHAKUHODO DESIGN代表取締役社長の永井一史氏、ヒロタデザインスタジオ マネージングディレクターの廣田尚子氏ら監修のもと、共同研究チームを発足。
日本デザイン振興会が主催するグッドデザイン賞に応募実績がある国内企業3944社を対象に、経営におけるデザインの導入・推進状況、課題意識などを中心に計41問からなるアンケート調査を実施し、519社から有効回答を得た。
調査結果は以下の通り。
デザイン経営に積極的なほど売上が成長している
過去5年の売上高増加率が10%以上の企業の割合は、デザイン経営の取り組みに積極的なほど増加傾向にあり(16%→24 %→28%→33%)、デザイン経営に注力している企業と売上成長の相関は大きいといえる。
エンドユーザー向け事業を持つ企業、デジタル化を推進する企業は更に傾向が顕著
エンドユーザー向け事業を多く持つ企業、UX向上のためのデジタル化への取組みに積極的な企業において、過去5 年の売上高増加率が10%以上の企業の割合は、デザイン経営の取組み状況に応じて増加傾向にある。
デザイン経営に積極的な企業ほど、従業員からも顧客からも愛される傾向にある
自社について、従業員から「とても愛着を持たれていると思う」「愛着を持たれていると思う」と回答した企業の割合は、デザイン経営の取組みに積極的なほど高くなることが確認された。また、同業他社と比較して、自社のブランドまたは製品・サービスに対するコアなファンが多いと回答した企業の割合は、デザイン経営の取組み状況に積極的なほど高くなる傾向がみられた。
共同研究チームは、本調査結果を、デザイン経営の導入を検討している経営層、社内や上層部に対してデザイン経営を広めたいと考えているミドルマネジャー、またデザイナーの職域や役割を再認識するためなどに役立ててほしいとコメントしている。
また、日本デザイン振興会は、今後もデザインと経営に関わる調査を継続することで、デザイン経営の指標化なども視野に入れていく考えを示した。