宣伝会議が発行する月刊『広報会議』は11月、2020年に発覚した企業・団体・個人の不祥事に関し全国1000人の男女(20~60代)を対象に、「最もイメージダウンした出来事」についてアンケート調査を実施した。
2020年1月~10月に発覚した不祥事11事例※のうち、著しくイメージダウンした出来事を上位3例まで選択してもらったところ、1位は「河井克行、案里両議員を逮捕 参院選買収疑いで」(29.5%)となった。
以下、「『ドコモ口座』からの不正引き出し問題」(24.9%、2位)、「『テラスハウス』出演の木村花さんの死 放送倫理を審議」(23.5%、3位)と続いた。
2020年の危機を語る上で欠かせないコロナの存在。事業の継続さえ危ぶまれ、倒産の危機に陥るところも少なくなかった。そうした一面もあり、例年に比べ、企業不祥事が目につきにくかった。しかし、緊急事態宣言が解除されて以降、ドコモ口座はじめ、後述の沖縄タイムスのコロナ給付金の不正受給やゆうちょ銀行の不正送金など、謝罪会見が相次いだ。
10位までのランキング結果と、回答者が選択した理由については以下の通り。
1位:河井克行、案里両議員を逮捕 参院選買収疑いで(29.5%)
・言い訳ばかりで、国会議員の座にしがみつき、みぐるしい(56歳女性)
・黙秘、雲隠れに終始したことで社会一般の心象がより悪化した(62歳男性)
・逃げてるだけ(44歳女性)
2位:「ドコモ口座」からの不正引き出し問題(24.9%)
・会見の説明が足りてなかった(29歳男性)
・責任問題を回避するかのような歯切れの悪い弁明。大企業としてのモラルを疑わざるを得ない(62歳男性)
・もともとセキュリティへの意識が低く、会見も開き直っていた印象(26歳女性)
・ドコモ口座の全取引を一時的にでも一切中止すべきだったのに行わなかった(41歳女性)
3位:『テラスハウス』出演 木村花さんの死 放送倫理を審議(23.5%)
・該当番組がすぐには打ち切りにならず配信が続行され、放送局自体も非常に曖昧な対応で不快感があった(37歳男性)
・第三者調査結果含めてフジテレビの釈明が不十分(59歳男性)
・やらせの認識が視聴者と制作側で違うと思った(45歳女性)
4位:黒川弘務東京高検検事長(当時)が記者と賭け麻雀、発覚(22.5%)
・ただでさえ各方面との癒着がほのめかされていた中での事件だったので信用度が落ちた(28歳男性)
・元検事が法に反した行動をしたということに対して政府の反応があまりに薄かった。また、記者への信頼が下がった(20歳女性)
・もっとしっかり追求・説明しろ!(68歳女性)
・法を司る人失格(20歳男性)
5位:ゆうちょ銀で相次ぐ不正送金(ドコモ口座、SBI証券、mijicaなどを巡り)(22.3%)
・信頼が揺らいだ(36歳女性)
・担当者があまりネットのセキュリティに詳しくない印象を受けた(56歳女性)
・前から言われていたのに対応が遅い(51歳女性)
6位:持続化給付金、電通への再委託問題(12.4%)
・結局ここでも利権や中抜きが絡むのかとうんざりした(28歳男性)
・どうやって決めてるのか、丸投げも許されるのか、ハッキリさせないまま、どうかしてると思う(54歳男性)
・事業者選択と監視がなっていない(67歳男性)
7位:アース ミュージック&エコロジー(ストライプインターナショナル)元社長がセクハラ疑惑で辞任(6.5%)
・アパレルで働きたくなくなる(37歳男性)
・対応が遅い気がした(42歳女性)
・ちょっと信じられない。ブランドイメージがガタ落ちしたと思う(48歳男性)
8位:東京証券取引所 システムトラブルで宮原社長らが会見(4.6%)
・対応が早く、良いと思った(42歳女性)
・今後に備えて管理体制を強くしていくとのことなので現在は信頼していてもよさそう(26歳男性)
・イメージ悪化はないですが、やはり機械も融通きかないものですね(50歳女性)
9位:沖縄タイムス コロナ給付金不正受給問題(4.4%)
・会見を見たが事後の社内調査の有無や結果について不明瞭(65歳男性)
・無知を強調して被害者のような態度(48歳女性)
・職(ジャーナリスト)に対する自負が薄いと思った(45歳女性)
10位:コロワイドによる一連の大戸屋HD買収劇(3.5%)
・スムーズな買収じゃなかったのに強行したことにあまり納得できない(20歳女性)
・TOB後の取締役解任で仲が悪い印象が増した(37歳女性)
<調査概要>
広報会議編集部「2020年に発覚した企業・個人の不祥事」に関するアンケート
調査方法:インターネットリサーチ/対象:全国、20~69歳の男女/期間:2020年11月6日~9日/有効回答数:1000/調査機関:ネオマーケティング
『広報会議』 2021年1月号
【巻頭特集】
2021年 コロナ下の「危機対応」実例と応用
CASE1 ドコモ口座不正利用問題
各所に広がったセキュリティ問題
危機管理もオープンイノベーションが重要
植村修一(元日本銀行審議役/元大分県立芸術文化短期大学 教授)
CASE2 フジテレビ誹謗中傷への対応問題
リアリティ番組のリスクに番組側のフォローは
一方的で信憑性に欠ける報告書
鶴野充茂(ビーンスター 代表取締役)
CASE3 ストライプインターナショナル セクハラ問題
社員には事前に正しい情報を
報道で明るみになるリスク
角山 剛(東京未来大学学長/産業・組織心理学会理事)
CASE4 沖縄タイムス コロナ給付金不正受給問題
記者会見中に露呈した「認識の甘さ」
迅速な対応には平常時からの準備が重要
田中正博(田中危機管理広報事務所 代表取締役社長)
リスク広報最前線 特別編
東証のシステム障害を通じ学ぶ
広報の押さえるべきポイント
浅見隆行 弁護士
GUIDE
社員の不祥事、会社として広報対応に
どこまでかかわるか~傾向と対策~
平野日出木(エイレックス取締役副社長)
COLUMN
危機拡大を防ぐには
広報の手腕が今、求められる
など