森永乳業は、11月23日から期間限定で「ピノ やみつきアーモンド味」の発売を開始した。それにともない同日、北海道新聞に15段の広告を出稿。また発売前に先がけて、文春オンラインにタイアップ記事を掲載し、SNSで声明を発表するなどメディアを横断した企画を展開した。
ピノ アソートパックの1つのフレーバーであった、アーモンド味。根強い人気があり、アーモンド味のみでの販売を望む声が寄せられていた。しかし、1998年に北海道でテスト販売した際には、売上が伸びず多くの在庫を抱えた苦い経験も。「また売れなかったらどうしよう」という不安な思いを率直に表現したコピーを用いて、地元紙である北海道新聞の紙上でアーモンド味を改めて発売することを宣言した。
電通 コピーライター 姉川伊織さんは、「新商品発売というと、通常は自信満々で広告を出すもの。だけど、商品をつくっているのも人なので、少しくらい不安を抱えているほうが人間らしくて仲良くしてもらえるのでは?と思いながらコピーを書きました。前向き&ポジティブなメッセージは世の中にすでにたくさんある中で、ピノくらいは悩みや本音が漏れ出ちゃう憎めないアイスであってほしいなと。結果的に多くの人に『買うよ!』と応援していただいて嬉しいです」と話す。
このほか、11月17日には発売を告知するにあたり、文春オンラインの記事広告と公式Twitterを活用し、「文春砲」風のニュースを展開。記事広告では、ピノのヒットの要因、「アソートパックのアーモンド味だけ食べたい」というファンの声を紹介し、さらには森永乳業関係者への匿名取材、取材班が入手した内部資料の公開と“文春らしい”トーンを活かした。そこに重ねるように公式Twitterで声明文を発表し、「待ちに待ったアーモンド味が登場する」という空気感を演出した。
「クライアントに文春砲をくらわせ、釈明の声明文を出してもらう。さらには、当時の担当者から聞いた消したい過去を新聞原稿にする。全員善人のチームで考えていたら悪魔みたいなことをやっていました。でも、かわいく見えてしまう。それがピノというブランドの力だと思います」と電通 クリエーティブ・ディレクター 尾上永晃さん。
一連の企画は、SNSを中心に話題になり、公式Twitterからの声明文発表のツイートは、6万以上リツイートされ、15万“いいね”を突破した。
スタッフリスト
- 企画制作
- 電通+J.C.スパーク+D2C dot
- CD
- 尾上永晃
- AD
- 井本善之
- C
- 姉川伊織
- 企画
- 加藤倫子、吉田隆大
- PRプランナー
- 松尾雄介、井藤尚宣
- D
- 藤井亮、蒲谷杏里
- PR
- 高橋大輔
- AE
- 小西剛史、佐野直樹、保志場慶