12月1日、松任谷由実の約4年ぶり・39枚目のオリジナルアルバム『深海の街』が発売された。それに合わせて同日、アルバムのプロモーション映像「深海の街 Album Message Movie~1920」をYouTube上で公開した。
シングル曲のミュージックビデオのダイジェストではなく、アルバムの発売にあたって今回新たに制作された。リリック(歌詞)ビデオでもなく、アルバムに込めたメッセージを伝えるのが主な役目だ。電通とAOI Pro.が企画制作を手がけている。
映像は黒い背景に白い字で「あの時、世界が海に沈んでいくのが見えた」と表示されるところから始まる。フルCGで描かれた深海の様子に、ボコボコ、ブクブクとまるでダイビングをしている時のような泡の姿や音が重なる。BGMにはアルバムの最初に収録された曲「1920」を用いた。
電通のプランナー木下さとみ氏は、「プロモーション映像は、元はアルバムに収録されている複数の曲で構成しようと考えていました。しかしプロデューサーの松任谷正隆さんに提案したところ、『それぞれの曲よりも、アルバムとしてのメッセージ“愛しか残らない〜 深い海の底で 僕たちは気づいたんだ”を表現し、伝えることに注力してほしい』というご要望が。そこでアルバムのメッセージを体現した曲のひとつ『1920』を軸に据えて企画をしました」と話す。
映像で注力したのは、「泡」の動き、だった。「映像のラスト(1分45秒あたり)で『泡』は、アルバムからまるで貝のように漏れる『呼吸』だったことが明かされます。メッセージの中に『原始生物』という言葉が出てくることからも、その『泡』に生命を宿したいと考えました」(木下さん)。随所にちりばめられた潜水服などのアルバムジャケットのモチーフには、ストーリーを深めるねらいがある。
「加えて、音声で注力したのは、深海から聞こえてくるユーミンの声と泡の音の演出。松任谷(正隆)さんからもディレクションをいただき、海の中でユーミンの声が遠くから徐々に近づいてくる表現や泡の音の質感など、リアルさとファンタジーの両方を追求しながら丁寧に制作しました」と、木下さん。
公開後は、視聴者からは「神秘的」「どこか懐かしい、遠い昔の記憶」といった反応も。「ユーミンの楽曲とともに、メッセージムービーを通して『深海の街』に込められた思いが聴く人の心に深く届くことを願います」(木下さん)。
スタッフリスト
- 企画制作
- 電通+AOI Pro.
- 企画
- 木下さとみ
- CPr
- 高橋準也
- Pr
- 高橋伸也
- PM
- 奥田麻理乃
- 演出
- 濱田明日也
- 編集
- 松本進太郎、野田哲広
- MA
- 青木利雄太
- サウンドデザイン
- コウダイ、関口夏光
- CG
- 佐々木紀子、佐藤翔太、川畑稔
- 生物監修
- 木下こづえ
- AE
- 染野晴美、多田豊一郎