sopoの企画の裏側、そしてその戦略について、企画から生産までを手がけたノインの代表 渡部賢氏と同 新規事業開発部長 後藤麻希子氏に話を聞いた。
若年層をコンビニでの購買に結びつける「起爆剤」に
ノインの主な事業は、化粧品専用のECプラットフォーム「NOIN」の運営。今年4月に発表された伊藤忠商事からの同社への出資に先立ち、同じく伊藤忠傘下のファミリーマートに、新しいコスメブランドを提案する機会を得た。
ノインの代表 渡部賢氏は「コンビニの既存顧客は40代~50代などの層が多いことから、新たに獲得したいのはミレニアル・Z世代と呼ばれる若年層なのでは、と想定しました。当社が運営するEC、『NOIN』はまさにその若年層が主なユーザーです。コンビニに誘導できるような仕掛けを、と考えていきました」と話す。
NOINの顧客層を、コンビニでの購買に結び付けるには–。実際のNOINユーザーの決済方法が、そのヒントになった。
「NOINには若いお客さまが多いため、ECプラットフォームでは珍しく、クレジットカード決済比率が非常に低いんです。一番多いのが『後払い』。後払いをどこでするかというと、ほとんどの場合が最寄りのコンビニです。次いで多いのが、『コンビニ決済』。結局どちらもコンビニでの支払いとなるわけです。そのため、若年層にきちんと刺さる商品をコンビニの店頭に並べることで、購買にもつなげられるのでは、と考えました」(渡部氏)
「若年層」に加え、「店舗数の圧倒的多さ」がヒントに
sopoのコンセプトは「試してみたかったを叶えるコスメ」だ。「このブランドコンセプトは最初の提案時から決めていました」と、渡部氏。先述の「若年層」、加えて「コンビニの店舗数の圧倒的多さ」がヒントになったという。
「コンビニにおける日用品の棚は、基本的には緊急需要向け。一方で化粧品業界では、百貨店の撤退などで、地方を中心に売場が減少しているという事実があります。化粧品業界で最も流通を持つドラッグストアにおいても、地方のドラッグストアでは新商品が配下されづらい状態。このように、全国的に見ると、実は新商品を中心としたトレンドのコスメは買い場が少ないんです。これは僕らが『NOIN』を始めた理由でもあります。
だからこそ、sopoでは全国の方々の“トレンドのコスメを試してみたい”を叶えることに、焦点を置きました。手に取りやすい価格とサイズにしたのも、その理由からです。コンビニは全国における圧倒的な店舗数の多さから、お客さまに商品を届ける場として最適だと考えています」(渡部氏)。
「トレンドコスメ」というだけあり、sopoの強みはコンビニコスメらしからぬ色の展開の豊富さだ。「3 in 1アイブロウ」は2色、「リキッドアイライナー」は5色、「カラーマスカラ」は5色を展開している。
ECでのデータをもとにした商品開発
商品はコンセプトにもとづき、トレンド感あるカラー、若年層にも手に取りやすい価格帯、そして高品質にこだわった。アイテムはコロナ下での需要を考え、目元用の3つに決定。
色のラインナップは、まずNOIN上のトランスアクションを元に、いくつかの候補を抽出。その後編集部でのテストや、同社の公式Instagramのフォロワーにストーリーズ機能を使用してアンケートをとるなど、試行錯誤を重ねた。
「NOINはコスメ専門のECのため、売れ筋商品のデータが取ることができます。そのマーケティングデータを活用しながら、トレンド感や使用感を確実なものにすべく、何度も試作を重ねました。マスカラはラメの粒子の大きさ、ラメ同士の距離感などを、アイライナーは色によって筆とフェルトを使い分けるなど、こだわりにこだわっています。また発色の良さは多くの方に好評いただいていますね」と、新規事業開発部長 後藤麻希子氏。
また、価格帯を下げるために商品の容量を少なく設定した。そこにも思わぬ勝因が。「お試しカラーというのは、容量が多いと意外と使いきれないことも多い。でも容量も価格帯も下げると、悩むことなく複数買いしていただけるというのが今回よく分かりました」(渡部氏)。実際SNSでも、アイテムをまたいで複数買いしている人が多く見受けられる。
「企画開始が1月ごろとタイトなスケジュール感でしたが、かえってこのスケジュール感だったからこそ、トレンドにハマるものを世に出せたのでは。実際、発売後さまざまな企業の方々から、反響をいただいています。現在は次の商品も進めているので、是非楽しみにしていてください」(渡部氏)。
次の発売アイテムはまだ非公表だが、発売は来春を予定しているという。