視聴率の取り方が大きく変わって、ドラマのつくり方にも幅が出てきた
権八:おさむさんの会社には社員がいるんですか?
鈴木:社員はいないです、僕ひとりです。
権八:あ、ひとりなんだ。
鈴木:はい、僕はひとりでずっと。マネジメントも含めて、スマイルカンパニーって事務所に所属はしているんですけど、僕自身はひとりでずっとやっています。苦手なんですよ、後進を育てるのが……。
中村:弟子がいらっしゃるっていう噂を聞きましたけど……。
鈴木:いやいや、それは番組の企画でちょっとやっただけで、本当の弟子じゃなくて。放送作家というか、自分の下を育てるのは苦手ですね。
権八:(笑)。
鈴木:斜めはいいんですけどね、ディレクターとかなら。下を育てるのがめちゃくちゃ苦手ですね。
中村:なんでですかね~怒っちゃうんですか?それか「もういいよ!俺がやる!」みたいな?
鈴木:自分がやっちゃいますね。そういうのって、自分が若手時代にやっていたことを求めがちじゃないですか。
中村:確かに!分かる。
鈴木:だからそれダメだな、っていうふうに思っちゃいますね。
中村:鈴木おさむさんが、今やってみたいことって何ですか?
鈴木:テレビの視聴率の取り方が大きく変わったじゃないですか。要は世帯視聴率でずっときていたものが、日テレがいち早く世帯視聴率を捨てて、個人視聴率のしかも13歳から49歳に振り切って……今はどんどん各局がその指標になってきている。そんななかでドラマのつくり方も変わってきたなーって思うんですよ。例えばアベマで何回再生した、日テレだとHuluでどのくらい再生回数あったか、あと物がどのくらい売れたか、みたいな。
こういろんな指標が出てくる中で、今後は地上波も含めてドラマのつくり方に幅が出てくるんじゃないかなと思ってきて。今回『M』をやってみてそれをすごく感じましたね。なので今後もチャレンジングなドラマをつくってみたいなとは思いますね。ドラマ自体がドッキリになっていたりとか……そんな感じ(笑)。
澤本:『M』をお受けになられた時って、目標って何かあったんですか?
鈴木:視聴率ではなく、いかに世の中がザワザワするかっていうことでした。もう一個いうと賛否両論、「なんだこれ?」っていうふうになったらいいなって思っていた。あと田中みな実さんのキャラクター「礼香」がボンっと出ないかなっと思っていましたね。全体の賛否両論で騒いでほしいっていうのと、ドラマの中でのオリジナルキャラクターが相当なインパクトを持って、何だったらそれを真似してインスタとか(笑)、ワーッて世の中に出ないかなって。
中村:恐らくうまく行っていますよね。『M 愛すべき人がいて』をやっている時にリアルタイムでTwitterを見ると、わりと大騒ぎになっているらしいですもんね。
鈴木:田中みな実さんが目に眼帯をしているんですけど、1話が終わった後に、明月堂(福岡の菓子メーカー)が売っている「博多とおりもん」にそっくりだってすごく話題になったんです、。
一同:(笑)。
鈴木:そしたら、その明月堂の人からプロデューサー宛に手紙が届いたんですよ。プロデューサーは「これヤバいの来ちゃったなぁ!」って怒られると思って、手紙を一日読まなかったらしいんですよ。それで翌日手紙を開けてみたら、明月堂の方から、「今回は『博多とおりもん』を意識していただいてありがとうございます~」って。
一同:(爆笑)。
鈴木:「おかげさまで『博多とおりもん』も売り上げが伸び~……」って(笑)。
権八:本当か(笑)。
鈴木:そして大量の「博多とおりもん」を送ってくさったたんです。
一同:(笑)。
権八:面白い!
鈴木:それをみた時に、「あ、ちょっときたかな?」と思いましたね(笑)。全然想像していないところだったので。「博多とおりもん」かーって!その感じが良かったですね。あとは、もう一個の目標としては、ドラマがどう騒がれてもいいですけど、浜崎あゆみさんの曲がサブスクですごく回ることっていうのは願っていましたね。
今一度浜崎さんの曲をみんなが聴いて「90年代いいよね!」ってなってくれるといいなとは思いましたけど。でも結局はドラマの外にありますね。
澤本:ということは、数字としての視聴率とは別のものを目標にして?
鈴木:そうですね。
澤本:それはすごいですね。
鈴木:時間も夜11時台なので、なかなか視聴率というだけではないので。周りをかき回せている感っていうところですかね。
権八:おさむさん、ちなみに編集とかは?チェックしたり立ち会ったりとかしないんですか?
鈴木:全然しないです。でも台本で、まず3話で撮影が止まった時に、Twitterのリアクションを見て、4話以降を3話のリアクションを受けてめちゃくちゃ直したんですよね。
権八:なるほどなるほど。
鈴木:「あ!こうウケたか!」っていう感じだったんで、それで一気に直したりはしましたね。