巣ごもり需要の恩恵を受けるゲームアプリ業界の課題とは
——野嶋さんはこれまで、LINE広告やゲームアプリ業界にどのように関わってこられたのでしょうか。
野嶋:2015年に新卒でオプトに入社してから、一貫してソーシャルメディアの運用型広告を取り扱ってきました。TwitterやFacebook、InstagramなどのSNS広告が中心でしたが、2016年のリリース以降、LINE広告を中心に扱っています。ゲームアプリ業界のクライアントも数多く担当してきましたが、ソーシャルメディアはコミュニティをつくりやすいという理由から、複数人で競い合い、助け合いながら遊ぶことが多いゲームアプリのプロモーションとの親和性が高いと感じています。
なかでも、LINE広告は広告プロダクトとして他ソーシャルメディアより後発でありながら、アクティブ率の高いユーザーを多く抱えています。そのため従来のプロモーションではリーチできなかった層が獲得できることもあり、注目される機会が増えています。
——現在のゲームアプリ業界の市場動向をどのように見られていますか。
野嶋:コロナ禍の影響はとても大きく、巣ごもり需要が多くのゲームアプリ企業の追い風になりました。国内のゲームアプリのインストール数は、2020年1⽉の週平均と比較して、2020年5月は50%増加※1。ユーザーアンケートでも在宅時間が増えたことによりゲームを新しく始めたという声が多く、市場は拡大しています。
なかでも「ハイパーカジュアル」と言われる、電車通勤などの隙間時間に遊べるライトなゲームのユーザーが増え、今までゲームアプリに興味がなかった人たちも新規でインストールしている様子が伺えます。
業界的に追い風が吹く一方で、新規タイトルの市場参入が難しいという課題もあります。その原因に、1人当たりがプレイするゲームタイトル数が減少していることが考えられます。YouTubeやTikTokなど、余暇時間に利用できるエンタメサービスが増えているうえ、ゲーム自体のコンテンツが拡充されてひとつのゲームで長い期間にわたって遊べるようになり、ユーザーが複数のゲームをプレイする機会が減ってきています。
——リリース当初から関わっているというLINE広告の変化についても教えてください。
野嶋:LINE広告の変化で印象的なのは、広告配信面の拡充です。以前はタイムラインなど縦に流れるインフィード型の掲載枠が主流となっていましたが、LINE NEWSやトークリストの最上部に掲載される「Smart Channel」など、ディスプレイ面の広告掲載枠も拡充されました。「LINE広告はインフィード型からディスプレイ型に変化した」と言えるかもしれません。
特に「Smart Channel」が表示されるトークリストはLINEアプリのなかでもユーザーの利用回数が最も多く、まさにLINEの“一丁目一番地”とも言える場です。認知獲得を目的とした広告配信の場合、そこに広告が掲載されるのは大きな進化といえます。
また、最近では配信機能の充実化も進んでいます。以前まで、成果を出すためには細かなチューニングを繰り返す必要がありましたが、現在は機械学習を利用して自動的に広告入札の最適化を行う「自動最適化配信」機能の活用比率が高まっています。ミスなく設定できれば、後は自動で調整されるようになったのはポジティブな変化ですね。
1日に何回も利用する、LINEのアクティブ率の高さが魅力
——他のプラットフォームと比較した場合、LINEならではの強みはありますか?
野嶋:LINE広告とLINE公式アカウントを併用することで、ユーザーと継続的なコミュニケーションが行いやすくなります。これまでのように広告配信でコンバージョンを取って終わりではなく、そこから次の施策を展開することができる。その点がユーザーとのタッチポイントをつくるうえでも、広告プロモーションの場においても、他のプラットフォームと比較した際の大きな強みだと思います。
また、MAU(月間アクティブユーザー数)が8,600万人(2020年9月末時点)という大規模なユーザー数はもちろんですが、私が最も魅力的だと感じているのは85%(2020年9月末時点※2)を誇るLINEのアクティブ率です。
LINEはすでに日常的なコミュニケーションツールとして生活に浸透しているので、プッシュ通知で誰かからの連絡を受け取るたびにアプリを開きます。アクティブ率が高ければ、それだけユーザーの広告接触回数も増加するので、企業にとっては新規ユーザーにリーチできる可能性が高まります。
——ゲームアプリのプロモーションにおいて、LINE広告はどのように活用できますか。
野嶋:大きくは2つあげられます。新しくリリースされるゲームタイトルの事前登録を促すための広告配信と、リリース初期のインストールプロモーションにおける活用です。
前者でいうと、たとえばLINE広告のCPF(Cost Per Friends)でLINE公式アカウントの友だち追加を促しながら、ゲームタイトルの事前登録完了となる設計で配信を行うことで、熱量の高いユーザーの獲得に繋がり、インストールにつなげやすくなります。
後者の場合はLINE広告のターゲティング配信に加え、プレイ意欲の高い事前登録(LINE公式アカウントの友だち)に対するメッセージ配信を活用することで、初期段階での話題づくりやユーザーが離脱しないような関係の構築に役立ちます。
また、ゲームのプロモーションを例にあげると、ゲームの内容をどれだけ魅力的に伝えられるかがインストールやプレイを促すうえで重要になります。そのため、ゲームの世界観を視覚的に訴求できる動画広告の活用が欠かせません。
トークリストの最上部にはSmart Channel以外に、動画広告の「Talk Head View」も配信されます。Talk Head Viewは1日に5,500万人(※2020年2月時点、過去実績に基づく)のユーザーにリーチができると言われています。
今後は個人情報保護のため、Cookieの利用規制などが進んでユーザーデータが取得しにくくなることが予想されます。そのため、Talk Head Viewのようにマス的なコミュニケーションで認知を広げる広告商材が改めて注目されると考えています。
ユーザーとのタッチポイントの創出に、LINE公式アカウントのデータ活用がカギ
——今後、LINEに期待していることを教えてください。
野嶋:ユーザーデータの取得が難しくなるなかで、いかにインストールしてくれたユーザーとのタッチポイントをつくり続けられるかが、ゲームアプリにおいて非常に重要なポイントになります。その点、LINE公式アカウントは友だち追加をしたユーザーとの継続的なコミュニケーション、また、それを通じたデータの蓄積や細かい分析が可能です。
Twitterも企業の公式アカウントを通してフォローしたユーザーとコミュニケーションをとることができますが、一度フォローを外されてしまえば、その後のデータは追えません。一方でLINEは、ブロックしたユーザーのデータも保持しているため、もう一度復帰してもらうための働きかけをすることもできます。
データの利活用でいうと、LINEは2019年12月に、LINE公式アカウントの活用で得たデータを広告配信にも活用できるクロスターゲティング機能をリリースしました。LINE公式アカウントのデータをLINE広告の配信に活用することで、友だちに似た属性のユーザーにリーチすることができ、新規ユーザーとのタッチポイントが創出できます。
今後のLINEにおけるプロモーションは、LINE広告の運用だけでなく、LINE公式アカウントも含めて統合的に運用し、データを活用していくことが欠かせません。弊社はLINE Innovation CenterというLINEのデータを活用して企業のデジタルシフトを推進するオープンイノベーション組織を有し、LINE広告とLINE公式アカウントのデータ連携に注力しています。LINE活用で得たデータをもっと細かな粒度で分析できるようになれば、さらに企業の活用の幅が広がると期待しています。
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