『逃げ恥』脚本家、野木氏が考える その時、そのメディアごとのテーマ設定の重要さ

炎上の多い企業SNS個人と企業の発信のちがい

SNSなどを通して、番組や作品について発信する機会も多い野木氏だが、世の中に発信するにあたり「企業(公式)アカウント」と「個人アカウント」での発信の違いについて考えることも多いという。

「個人のアカウントだからといって、何でも発言してよいというわけでは決してありませんが、企業アカウントによる発信には大きな責任が伴います。

私の場合、個人であることと作品を背負っているという中間の立場から、企業アカウントや番組の公式アカウントでは発信できていないことを、補助情報のような位置づけで発信することもあります。“炎上”が多い昨今、立場を考えて発言することに、今まで以上に気を配る必要があるのではないでしょうか」と、発信することへの考えを話した。

広告は、最先端を提示する世の中にとっての憧れの存在

企業の発信のあり方については、広告に関しても同じことが言えるという。

「SNSでの発信同様、広告においても、“企業として発信することによる影響”を深く考えてから発信する必要があると考えています。個人が『表現の自由』を掲げて発信をするのと、企業が発信するのでは、世間の人々からの捉えられ方は異なります。“バズる”ことによる話題化はもちろん大きな効果があると思いますが、“バズる”なら何でもして良いというわけではない。広告によって誰かが傷つくといった悲しいことは起こらないでほしいです。ブランドとしての誇りを持った、TPOを意識した広告コミュニケーションが大切だと思います」。

野木氏は、広告とは「最先端のことを世の中に提示する、憧れの存在であってほしい」という。

「例えばテレビCMは、15秒30秒といった短い時間の中に、たくさんの人々の想いが詰まっていますし、多くの費用や時間をかけて制作されています。だからこそ、見た人が憧れるようなものであってほしい。炎上広告が有名になってしまうのではなく、良い広告が良い広告として話題となり、認められる。そのような世の中であってほしいと願っています」と、広告に対する期待を語った。

PROFILE

野木亜紀子(のぎ・あきこ)

1974年、東京都生まれ。日本映画学校卒業。映画『図書館戦争』シリーズ、『アイアムアヒーロー』、テレビドラマ『空飛ぶ広報室』『逃げるは恥だが役に立つ』などの脚本を手掛ける。オリジナル作品としてテレビドラマ『アンナチュラル』『獣になれない私たち』『フェイクニュース』『コタキ兄弟と四苦八苦』『MIU404』など。

 

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