新しいデジタルコミュニティ
感染防止のためソーシャルディスタンスの確保が叫ばれ、人々は対面での接触を避けるようになった。そこで重宝したのが、SNSを中心とする、オンライン上のツールだ。SNSの希薄さ、脆弱性は指摘されてきたものの、仕事やプライベートの主戦場がインターネットになったことで、状況は変化しているようだ。事実、ビデオチャットツールの「Houseparty」は、1月21日から3月24日にかけて、1日のトラフィックが80%近く増加した。Facebookは、3月24日時点でグループ通話に費やす時間が前月比1000%以上増加したという。
これらの既存のプラットフォームに加え、人々はデジタル空間で「つながる」新しい方法を模索している。Zoomなどのオンライン通話ツールに加え、ゲームもプラットフォームのひとつだろう。
たとえば、ペンシルバニア大学やバークリー音楽院など、複数の米国の大学生たちは、「Minecraft」上にそれぞれの大学のキャンパスのレプリカをつくった。日本では小学生が同ゲーム上で「リモート卒業式」をした事例もある。また、「Fortnite」は4月、ゲーム上でTravis Scottの音楽ライブを開催。バーチャルライブには1200万人以上のプレイヤーが参加した。これをきっかけに、5月8日に行われた新機能「パーティロイヤルモード」の導入発表会は、Deadmaus、Steve AokiとDillon Francisら3人のDJを迎えてゲーム上で実施された。
これらの手段が、リアルな場での集まりの代わりとして浸透していくとは考えにくいが、今後のインターネット上のコミュニティエンゲージメントには、影響を及ぼす可能性は高い。コミュニケーションのデジタル化はコロナ禍での急速な普及をきっかけに、ゆるやかに定着していくと考えられる。