いろんなものが制限される状況で、より音楽に必死になった(ゲスト:渡辺淳之介)【後編】

お客さんの考えた世の中への不満をWACKの社是に!?

渡辺:これはスタンプラリーをやりましたよね?

権八:やりましたね。

渡辺:この世の中に対して言いたいことを言おうというキャンペーン。「言いたいこと=〇〇〇」をお客さんにも考えてもらって、それを社是にすると。

権八:そうそう。

渡辺:自分たちの、WACKの社是にするっていうキャンペーンだったんですけど。これはですね、もう最初から決まっていましたね。

権八:(笑)。それ言っちゃダメなんじゃないの?

渡辺:大丈夫です(笑)。いや、お客さんから絶対に来ると思っていたんです。で、本当に来ましたから!

権八:もちろん知ってる。あれ大変なんですよ。みんなは分からないかもしれないけど。まず「〇〇〇と言える世の中を本」という冊子をつくって……。

渡辺:これけっこう複雑なキャンペーンでしたよね。

権八:QRコードをスマホで読み込んでもらって、いろんな応募要項を確認してもらって、その冊子にスタンプを何個以上だっけ?

渡辺:10個かな?

権八:まずその冊子がどこにあるかも分からない状態。CDショップとか、後は淳之介のブランドの店とか。まずはその本を獲得してもらう。実際にメンバーが配布したりもしていたんだっけ?

渡辺:メンバーは配布していないです。

権八:そうだ、スタンプを押してくれるんだ、メンバーが!

渡辺:スタンプラリーになっていたんですよね、宝探しみたいな感じで。なので、どこにいるかも言わず。

権八:メンバーが渋谷のどこかにいるよ、と。

渡辺:メンバーがいるところを、みんなが探しに行く。

権八:そうそう。WACKのメンバーにスタンプをもらってね。スタンプがたくさん集まった人は応募権が与えられると。

渡辺:そうですね。

権八:真面目な話をすると、今意見が言いにくい時代というか、ちょっととんがったことを言うと一斉に叩かれてしまう。ネットのバッシングとかね。やっぱり2018年の謝罪もそうなんだけど、そういう感じがちょっと嫌だなと思っていて。僕らがあのキャンペーンやった後に、「あいちトリエンナーレ2019」で「表現の不自由展・その後」とかね。本当にアーティストとかクリエイターが表現をするということだけでも難しい時代ですよね。

渡辺:そうですね。

権八:その決めていた〇〇〇も、たくさん寄せられると思いきや……。

渡辺:いなかった。

権八:いなかったんだよね、たったひとりしか。

渡辺:26歳女性。

権八:はい。その女性だけが書いて応募してきてくれました。

渡辺:締め切りの3日前ぐらいにいただいたんですね。全社員が沸きました。

権八:バンザーイ!来たぞーって(笑)?

渡辺:(笑)。

権八:だけどそうは言ってもフェアで公正なものだから、本当にいいものがあればそれにするつもりでいたじゃない?

渡辺:はい。採用されると100万円を進呈するっていう企画だったので、意外と真面目に書かれた方が多かった(笑)。

権八:別に真面目でいいんだよ。社是にするって宣言しているわけだからね。わりと自由とか平和とかの真面目なテーマで書いてくれる方がたくさんいましたね。そうやってみんなに考えてほしかった。例えばファンだけじゃなく、様々な人に表現の自由を……こういうと大げさに聞こえてしまうかもしれないけど、そのものが侵害されがちだからね。

渡辺:そうですね。

権八:それをWACKみたいな事務所が、渋谷を舞台に世の中に向かってやるっていうのはすごく意義があるし、かっこいいと思うけどね。

次ページ 「「一つになろう」と言いがちな世の中に、広告で主張を展開」へ続く

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