中学生市場はブランド体験の入り口である ー 女子中学生人気No.1雑誌『ニコラ』にみるメディアブランドの活用法

読者との強いつながりが価値「中学生市場」を切り拓く

女子中学生から圧倒的な人気を誇るファッション雑誌『nicola(ニコラ)』は、毎月10万部以上の実売部数を誇る。女子中学生の人口は現在約160万人であり、実に16人に1人が購入して読んでいる計算だ。長年、“女子中学生人気No.1雑誌”であり続けるコンテンツの強みは、一体どこにあるのか。広告部副部長の志村浩宏氏に話を聞いた。

『二コラ』2021年1月号

冒頭、志村氏は、雑誌ならではの特性について言及。「そもそも雑誌メディアはデジタルコンテンツと違って読者がわざわざお金を払って購入してくださっているコンテンツです。その能動的な姿勢に、読者との強いつながりが生まれ、他のメディアにはない価値が生み出されています。また、紙媒体であるという特性にも価値があります。単なる読みものとしての役割だけではなく、気に入ったページを切り抜いてスクラップしたり、部屋に飾ったりと、読者との結びつきや親和性が深い体験型のメディアなのではないでしょうか」。

実際、新潮社の雑誌読者を対象にしたアンケートでは『雑誌を保存しますか?』という問いに対して、約8割が『毎号保存する』と回答。「改めて、当社の雑誌が読者に深く理解されていることを感じましたし、読者にとっても非常に重要な媒体になっていることが伝わりました」(志村氏)。

こうした雑誌ならではの特性を兼ね備えた上で、『ニコラ』ならではの独自価値があると志村氏。1997年の創刊以来、『ニコラ』の読者は常に新しい中学生に入れ替わってきた。その長きにわたり読者から支持を得続ける理由について、次のように話す。

「雑誌の多くは、創刊当時の読者と一緒に年を重ねます。でもローティーンズ誌であるニコラは、読者が入れ替わっていくのが特徴です。

また、誌面に登場するのは読者と同世代の専属モデルたち。他の雑誌では事務所所属のプロモデルを起用することが多いですが、『ニコラ』は独自オーディションを中心に選ばれた29名の専属モデル。通称“ニコ㋲ ”たちが活躍していて、読者とともに世代交代していくのです。可愛いだけではなく親近感もある。でも手が届きそうで届かない彼女たちの魅力も手伝って、中学生の女の子たちにとって、常に憧れの世界観を提供する媒体になれているのだと思います」。

中学生市場はブランド体験の入り口

そんな、中学生をターゲットとした長年のメディア運営における圧倒的な読者の支持と、そこから蓄積してきた膨大なデータは、広告主とのコラボに関しても強みになっているという。

「広告主の方にはよく『中学生の市場を切り拓きましょう』とお伝えします。“小中学生”、“中高生”と一括りにされることが多いですが、実は中学生は非常に特徴的な世代。中学生のデータはあまり一般的には出回っていませんが、あらゆる面で選択や行動の範囲が広がり、多様化していく高校生の一歩手前の存在です。また消費に関しても、自分のお小遣いの範囲だけでなく、両親や祖父母、叔父叔母など周りの方を通じた購買に影響を与える年代であることもふまえると、“ブランド体験や消費の入り口を押さえる”という意味で企業の中学生市場へのアプローチは重要といえるでしょう。

例えば、ロート製薬様とのタイアップ企画『ロートプリンセス』では、『すべての女の子をもっとかわいく』というコンセプトで、スキンケアに関するコンテンツを発信しています。今年で3年目になりますが、今では“ロープリ”と読者から親しまれ、当社へ直接ファンレターが届くこともしばしば。商品を自分で選び、発信する機会が増える中学生に対して、単なる広告にとどまらない訴求ができるコラボ企画は、企業やブランドのファンづくりとしても大きな意味があります」(志村氏)。


公式Youtubeチャンネル『ニコラTV』。専属モデルによる動画をほぼ毎日更新している。

ニコラの求心力は、今や雑誌を軸にデジタルの分野にも広がっている。

「2019年4月にリニューアルした公式YouTubeチャンネル『ニコラTV』は、専属モデルがヘアメイクやコーディネートを公開したり、撮影現場の裏側の様子を公開したりと、とにかく動画でしか見ることのできないコンテンツを発信していて、チャンネル登録者数は今年9万人を突破しました。

中学生をターゲットにした動画コンテンツはまだ珍しいことと、雑誌と違って多くの情報量が盛り込めるので、本誌とニコラTVのセットで広告を出稿いただくケースが非常に増えています。こうした展開も雑誌で培ってきたブランド力があってこそ。もともとはマスメディアですが、読者や環境の変化にあわせてSNSなどデジタル上での試行錯誤をしていくなかで、新たな展開が広がり面白いメディアになってきています」(志村氏)。

強いブランド力を味方にコラボ企画の幅を広げる

中学生から圧倒的な支持を得る『ニコラ』ブランドだが、その支持を支えているのは、読者との丁寧なコミュニケーションに他ならない。

「大切なのは、読者だけでなく読者の家族を含めて、決して裏切らないという姿勢。例えばイベントを開く場合にも、駅から会場までの道筋はどうか、中学生が訪れても問題のない場所かなど、安全性には常に細心の注意を払っています」(志村氏)。

最後に、今後一緒に組みたい相手について尋ねると、「地方創生」という意外なワードが飛び出した。

「『ニコラ』とのコラボの特徴は、時代の半歩先を行く専属モデルや、リアルな中学生読者の声が聞けること。ナショナルクライアントはもちろん、教育業界や文具業界、食品や外食業界など、強化していきたい分野はたくさんあります。未知の分野では、なんらかの企画を地方の自治体やローカル局とご一緒させて頂き、それを通じて地方創生にも一役買えるのではと期待しています。例えば、『ニコラ』の専属モデルのオーディションを地方の皆さんとも連携していきたい。モデルに出身地の自治体の観光大使になってもらうなど、地方の皆さんのお役に立てる新たな取り組みができるのではないかと感じています」(志村氏)。


お問い合わせ
株式会社新潮社 広告部(担当:志村・坂本)

〒162-8711 東京都新宿区矢来町71
TEL:03-3266-5211
E-mail:nicoad@shinchosha.co.jp
URL:https://shinchosha-ad.jp/

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