未知の扉を開け合えるような関係に
—良い仕事、クリエイティブを生み出すために、コピーライター、デザイナー・ADに求めることは何ですか?
阿部:せっかくチームで取り組むのだから、お互いの可能性を引き出しあうことができたらいいですよね。自分が思いもしなかった扉の鍵をお互いが持っていて、その扉を開ける関係になることを目指しています。
いつも意識しているのは、「話し合う」というより「聞き合う」こと。具体案を出しながら「こんなのどう?」と聞きながら、感想を交換する中で考えを引き出し合い、気付いたらこんな遠くまで来れたね、というのが理想です。
小杉:僕は「世の中がこうだから」「時代はこうだから」ではなく、「自分が」という主語で明快に語れる方と仕事がしたいと思います。自分の思いにどこまでウェイトが乗っているかでその人のモチベーションは当たり前ですが、チームのモチベーションも変わりますし。
現在、仕事がプロジェクトになっていったり、長期的なものになっている傾向があるなかで、「思いの強さを誰が持つか、どこにもてるか」はとても重要なことだと思います。
—相手の職種に学ぶべきことは何だと考えますか?
阿部:僕は常日頃から「書かずに伝える」ことを意識しています。著書『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)の中でも「I LOVE YOUを訳す際に、愛と書かずに愛を伝える」ことの大切さを伝えています。ダイレクトに書かなくても、言葉に思いを宿すことで伝えることができるんですよね。
ADやデザイナーと仕事するときに、ビジュアルにもメッセージや言葉が含まれていることを強く感じます。「書かずに伝える」の力を学んでいます。
小杉:プロジェクトを引っ張る姿勢ですね。「この言葉で引っ張っていく」という責任感はコピーライターのほうが強いと感じています。「見方」を提示してくれる。チームの合言葉になる。一方で、最近のADは「自分で何とかしてやろう」「このデザインが突破口になる」というところがちょっと弱くなってきていると思っているので、その姿勢は学びたいところですね。
「出会うことで化ける」が体感できる場所
—最後に、この講座は受講生にとってどのような場になると思いますか?
阿部:「出会うこと」自体がチャンスだと思います。僕自身、これまでのキャリアを振り返って、ADやデザイナーの方と出会うことで化けるような感覚があったんです。先生と生徒という関係を超えて、僕と仕事をしたいと思うADやデザイナーの方に来ていただけたら嬉しいですし、コピーライターの方で小杉幸一さんや、副田高行さん、鈴木智也さんと仕事をするぞ、という気持ちで来ていただいても良いと思うんです。「出会うことで化ける」ということを体感できる場所にしていきたいですね。
モチベーションの高い人が集まるので、ここから仕事が生まれたり、キャリアの開拓につながったり、そんなことが必ず起こります。
小杉:「いつかこんなコピー書きたい、あんなデザインがしたい!」と思っているだけでできることなんて絶対ありません。動かなければいけません。そのためには、ビジョンが明快であればあるほど「自分がどう動けばいいか」という道のりをちゃんとつくることができるし、みえてくるものだと思っています。
そういう意味でも、いろいろな人の考え方を知ったり、自分が得意なものや好きなものはこれと分かったり、自分自身の解像度を上げていくチャンスで、他には絶対ない講座だと思います。僕も若い頃に受講したかったぐらい羨ましい講座ですね。
最強のコンビを、ここから。
「コピーライター養成講座『ART&COPY』コース 阿部広太郎クラス」。
本講座では、コピーライターとデザイナー・ADが会社の壁を超えて最強のコンビを組み、アワードはもちろん実際の仕事で活躍の幅を広げていく方法を学びます。
開講:2021年03月06日(土)開講 全8回(原則月1回、土曜日19:00~21:00)
定員:コピーライター枠25名、デザイナー・AD枠25名
お申し込みはこちら
阿部 広太郎(あべ・こうたろう)
電通 コピーライター
コピーライター&作詞家。1986年生まれ。2008年、慶應義塾大学卒業し、電通入社。人事局に配属されるも、クリエーティブ試験を突破し、入社2年目からコピーライターとして活動を開始。自らの仕事を「言葉の企画」と定義し、映画、テレビ、音楽、イベントなど、エンタメ領域からソーシャル領域まで越境しながら取り組んでいる。作詞家として「向井太一」や「さくらしめじ」に詞を提供。2015年より、BUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」を主宰。著書に『待っていても、はじまらない。ー潔く前に進め』(弘文堂)、最新作『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)は発売たちまち重版に。
小杉 幸一(こすぎ・こういち)
onehappy クリエイティブディレクター/アートディレクター
博報堂を経て、2019年「onehappy」を設立。企業、商品のブランディングのために、デザイン思考をベースに、従来の型にはまらないクリエイティブディレクション、アートディレクションを行う。主な仕事に、資生堂「50 selfies of Lady Gaga」、SUNTORY「特茶」、 SUZUKI「HUSTLER」、STARFLYER「輝く人の、」、 中部薬品「Vdrug」<新店舗のブランド戦略、CIデザイン、空間デザイン、PRデザイン>ジャニーズ事務所「CI デザイン」、YMO「YMO40」、Cartier「WISH」、PARCO「パルコアラ」、athome「ウォーリーとさがそう!」、 NatureLab「CI デザイン」築地玉寿司「もじにぎり」、TCC年鑑2016、B&B「CI デザイン」などがある。主な受賞に、東京ADC賞、カンヌライオン国際広告祭デザイン部門<GOLD>、JAGDA新人賞、JAGDA賞、D&AD、NY ADC、ONE SHOW <GOLD>、ACC賞<GOLD/SILVER>、JRポスターグランプリ最優秀賞、準朝日新聞広告賞、ギャラクシー賞、ADFES<GRANPRIX>、釜山広告祭<GRANPRIX>、フジサンケイグループ広告大賞優秀賞、インタラクティブデザインアワード、Spikes Asiaなど国内外多数受賞。東京ADC会員、JAGDA会員、JIFE会員 多摩美術大学統合デザイン学科非常勤講師。