歴史に名を残すには「概念と作法と道具をつくる」こと
石川:僕は、「概念と道具と作法をつくる」っていうことがすごく大事だなと思っているんですね。
澤本&中村:うん。
石川:千利休の茶道とかそうですよね。一期一会といった概念があって、ただ茶を飲むことに対する作法をつくって、道具もつくってっていう。概念とそれを体現する作法と道具があると歴史に残りやすいなと思っているんですね。
中村:確かに。
石川:で、この概念と道具と作法をつくり出した人っていうのでいろいろ興味を持って見ているんですけど、僕がすごいなと思う日本人がいるんです。天野尚さんって知っています?「アクアデザインアマノ(ADA)」って会社があるんですけども。
澤本:はい。
石川:天野さんって、元々プロの競輪選手だったんですよ。20年近く活躍されていて、当時自然とかも好きで写真も好きだから、よく南米のジャングルにいって写真を撮っていたんですね。それで写真を撮っているうちに、これは再現したいってなったんです。そこで、天野さんがつくり出したのが「ネイチャーアクアリウム」っていうやつなんですね。
中村:おー。
石川:普通水槽って魚が主役なんですけども、水草を主役にしたんですよ。
中村:なるほど。
澤本:ほう。
石川:「ネイチャーアクアリウム」って見てもらったら分かるんですけど、めちゃめちゃ綺麗でかっこいいんですね。世界中にファンがいて。
中村:なるほどね、確かにそれまでは「水槽の中に魚いないじゃねえか」っていうのが、「これはネイチャーアクアリウムという概念になります」と。
石川:そう。もちろん魚も若干いるんですけどね、それは水草についたコケを取ってくれるとか、ひとつの生態系を再現するという意味で。天野さんは間違いなく歴史に名を刻んだ日本人のひとりで。
中村:歴史に名を残したいなあー。41歳でもうちょっと無理なんじゃないかって思い始めてきましたけど。
澤本:41歳ならまだ全然早いでしょ。
中村:子供の頃、二宮金次郎みたいになりたいってやっぱり書くわけですよ。
一同:(笑)。
中村:今あまり小学校に二宮金次郎の像はないですけど、薪を背負って、何か俺が薪を背負うだけでも像にならなさそうだなぁと思って。どうすればいいんだと。子供からの夢ですけど、ちょっと一個ヒントをもらえたかもしれませんね。概念を編み出すと。
石川:「概念と作法と道具」なんですよね。