【CES2021】マーケティングは危機にどう取り組むか P&Gプレゼン/マーケターディスカッション(玉井博久)

2021年は楽しいエキサイティングなショッピング体験を

2021年、マーケティング関係者は危機にどう取り組んでいくかは、P&Gのプレゼンテーション以外でも話題に上がりました。WPPグループのエグゼクティブバイスプレジデントであるキャロル・リード氏がモデレーター役を務めたリモートディスカッションには、ハリーズ、ベライゾン・コミュニケーションズ、そしてウォルグリーンからそれぞれマーケターが参加しました。

広告代理店リードのもと、3人のマーケターが2021年の取り組みについて話した。

ベライゾンのイヴァン氏は、2020年にテクノロジーによって世界の異なる国・都市から人々が“集まって”スポーツ観戦した体験について触れ「2021年もバーチャルにつながるという選択肢は残る」と言います。その上でリ・コネクション(もう一度、つながること)を考える年になるだろうと述べました。

“顧客とのつながり”という側面を考えた際には、生活者はパーソナルデータがスマホの利用から取得されていること、そしてネット上の無料サービスは生き残るために広告を自分たちに見せることを知っているとした上で、基本的な原則に立ち返る必要があると言います。それはピープルファーストであることです。信頼関係を築いて、ファーストパーティデータを取得し、それをもとに本当に意味のある情報を届けること。提供するものは、ミーニングフル・エクスペリエンス(意味のある体験)であり、レリバント・エクスペリエンス(関係ある体験)であると話しました。

ハリーズのギャビー氏も、“ミーニングフル”という観点に触れます。2020年は顧客に何かのサインアップや商品の購入を強いることなく、ただひたすらに顧客を笑顔にすることにまっすぐなコンテンツの提供に取り組んできたことを紹介しました。「売らないといけないものもあるし、利益を出さないといけないが、顧客にとって本当に何が意味のあることなのかをとても大切にした」というのです。

そして困難な日常を乗り越えるためシリアスに考えてきた2020年を踏まえて、2021年はユーモアや楽しいショッピング体験を提供したいと話します。「シリアスで深く考えての購買だけではない、楽しいエキサイティングなショッピング体験。どう楽しんでもらうか。ジョイフルであり、ユーモアがあること。2021年はそうしたことに取り組みたい」とギャビー氏は話しました。なおP&Gのマーク氏もプレゼン後の質疑応答で、Usefulなコンテンツ、生活者をHelpするコンテンツと共に、EnjoyableなコンテンツやInterestingなコンテンツが必要だと答えていました。

そしてウォルグリーンのアリッサ氏は、データを使うこと、そしてデータを使うことで顧客が何を探しているのかを知ることの必要性を話しました。「顧客にどう役立てるかが問われています。特にこのパンデミックの状況下において、正しい情報を顧客に伝えること。ワクチン接種などヘルスケアに関する情報は個人的な情報になるため、データをもとにパーソナルなアプローチが必要になる」と述べました。

玉井博久
Glico Asia Pacific Regional Creative & Digital Senior Manager 兼 江崎グリコ アシスタントグローバルブランドマネージャー

広告会社側(リクルート、TUGBOAT)のクリエイティブと、広告主側(グリコ)のブランド構築の両方の経験を生かして、デジタルを活用した顧客体験(CX)を手掛けカンヌライオンズなど受賞多数。著書に『宣伝担当者バイブル』。2018年より3年連続CESに足を運び最新のデジタルテクノロジーを視察。得られた知見を、マーケティング、Eコマース、コンテンツプロデュースに活用。シンガポールにてASEANのECビジネスを2年で10倍以上拡大させる。2012年より日本のポッキーの、2016年より全世界のポッキーの広告を統括。ポッキーは、2020年にチョコレートコーティングされたビスケットブランドの世界売上No.1*として、ギネス世界記録™認定。

*タイトル:最大のチョコレートコーティングされたビスケットブランド/2019年 年間世界売上高 推計$589,900,000(国際市場調査データによる)国際市場調査のデータ分類上、クリームでコーティングされたビスケットも含まれる。

 

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