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米国では1月20日(現地時間)に新大統領の就任式が無事に執り行われ、早くも1週間が経った。バイデン新大統領は就任後最初の10日間で、毎日特定のテーマごとに数多くのエグゼクティブ・オーダーにサインをするとし、着々と仕事を進めている様子が伝えられてきている。その多くは、前政権時に確立された事柄を建て直すための策。そして、注目されるのが新型コロナウイルス対策と経済救済だ。
そんな歴史的な儀式である「大統領就任式」でのバイデン大統領の姿は、「分断し病んだ状態からのアメリカを背負って癒し、再起させる役割を担うことを決意した」そんな彼の意志が込められていた。ここでは、その装いを紐解いて解説してみよう。
ブルー系で誠実さ・実直さ・清潔さを表現
大統領就任式という歴史的な儀式のために、バイデン大統領が選んだのはラルフローレンのカスタムメイドのネイビースーツにコート、白のドレスシャツにライトブルーのタイという装いだった。ブルー系は彼のステートメントであり、強烈さはないが、オーセンティックかつ洗練されている印象だ。また、誠実で実直、清潔さが見て取れ、爽やかさが際立つスタイルだった。
問題が山積みのアメリカにとって、この就任式は新しい章の始まり。分断されたアメリカを癒し、再び団結させるための挑戦の始まりでもある。そのためには、感情をたかぶらせた「闘う強さ」ではなく、「皆と共にあること」を偽りなく誠実に示すことが望まれる。そして、周知の事実である「歴代最高齢の大統領」である年齢を「成熟した大人」としての精悍(せいかん)さとして表現することも重要だ。
そう考えた時に、このスーツやコートのダークネイビーは、重厚感と威厳を感じさせる役割があった。また、誠実かつ高潔な存在感の確立があり、現役感につながるパワーをバイデン大統領に与えていたのだ。