1月末、日本にローンチしたスマホアプリ「Clubhouse」。正確には、iPhone専用(iOS専用)アプリで、電話番号を介しSMSを使った招待制である。早速筆者も使ってみた。これは実にユニークだ。
広報の仕事に役立ちそうな使い方の前に、ちょっとだけこのアプリについて説明しよう。このサービスは、さまざまな記事によるとアメリカ・サンフランシスコのベンチャー企業「Alpha Exploration」が2020年、米国で始めたサービスで一説によるとすでに60万人が使っているという。
この数日で日本でも数万規模に増えているだろうと筆者は予想している。ラジオでもなく、Zoomでもなく、ポッドキャストとも違う。ライブハウス的な楽しみ方ができる場である。
「2枚の招待状」はあっという間に消滅!
筆者もFacebookでこのClubhouseを初めて知って、すぐにGoogleで検索をしたのだ。それで某IT企業のカントリーマネジャーから招待をされて開始した。
非常にクールなインターフェイスで、Apple的である。説明を読まなくてもすぐに使えた。英語表示だが、そんなに難しい単語はない。すぐにメディアジャーナリストとある経営者を招待して、ボクの持ち玉の「2枚の招待状」は消滅した。
非常に面白いのは、2枚しか招待できないということだ。「参加したい」という人が今のところ非常に多い。
入り口が、枯渇している。iPhoneの発売日のような熱狂に包まれている。TwitterもFacebookもInstagramも簡単にスタートできたので「枯渇感」はなかった。だがClubhouseは枯渇感満載だ。
実際にログインして聞いてみると、著名人が多い。アーリーアタブターと呼ばれる先進的な人が非常に多い。起業家、著名人、メディア、ライター、ジャーナリスト、そして広報担当の方々。
そう、ボクが使った印象としては、なんだかForbesやBusiness Insiderのラジオ版のような感じがする。しかも本人の声だけである。司会者もいない。内容も予定調和感がないのだ。
筆者は放送作家である。ラジオ番組に携わったことがあるが、それとは違うエッセンスで、ジャズライブのような即興感が非常にいい。そして生の声なのでテキストとはまた印象が違って感情が伝わる。そう、放送作家の出番が必要ない。しかも経営者などはさすが話が上手い。
これは発表会としても使えるかもしれない。
開発者や起業家などが発表会がてら話すことで、広報発表のように知らしめることも可能だと思う。そのサービスの裏側などを生の声で伝えられるのだ。
「一次情報」を伝える手段になるだろう。しかもラジオ的に。質疑応答などをどうやって進めるか?といった課題もあるが、炎上をせずに伝えることができて好感度を生む可能性がある。すでに筆者はいろんなところで提案をしている。
メディアの人に出会う機会もある。
実際に筆者は、会ってみたいメディアの人にこの場で出会えた。そしてすぐに手紙を書いた。アナログだ。なにせClubhouseの中では会話はできるが、TwitterやInstagramの用にDM(ダイレクトメッセージ)が送れるわけではない。
コミュニケーションの場でもないのだ。そのあたりはラジオ的である。
だから筆者は手紙作戦に出てみた。「Clubhouse面白かったです!」的な手紙を18通送ってみた。そのうち2通、メールで返答がもらえた。手紙にはもちろん連絡先と名刺を入れて送った。
メディアの人はまだ在宅勤務である。そのため会社に来ていないのかもしれない。まだボクの手紙を開封していないかもしれない。また開封したかもしれないが、単純に名刺ともどもゴミ箱行きになったかもしれない。
手紙で送るというのは、80年代、90年代のラジオ番組のようだ。非常に面白い。ハガキ職人だった自分を思い出す。ラジオのパーソナリティがメディアの人になっただけである。そこにファンレターを懸命に書いているのだ。ラジオで読まれることはないが、返事が来るとやはり嬉しい。