ひふみんに藤井聡太、空前のブームとなった将棋業界に思うこと(ゲスト:山口恵梨子)【後編】

解説で言うことがなくなった時の、世間話が面白い

澤本:もう、山口さんの解説は面白いっていう定説があって。

山口:私はサポートなので、聞き手なんですけどね。解説の先生の良さを、いっぱい引き出せたらいいなって思ってやっています。

澤本:相当な偉い先生方を相手にうまくしゃべれるのは、子どもの頃からおじさまとしゃべっていたから(笑)?

山口:(笑)。そうですね。私は将棋番組を6歳ぐらいの頃からずっと見ていて、けっこう難しいなって思っていたんですよね。聞き手の女流棋士の先輩方が、けっこうおしとやかで、将棋番組を見ていたら心地よくて眠くなっちゃう……みたいな感じがあって。

私は違うやり方でもいいんじゃないかなっていうふうに思っていて。その部分も大切にしながら、自分は相手の先生に対して、その先生の良さを自分の中で考えて、それを引き出せる質問をばんばんぶつけてしまおうって思って。そういう考えを事前に棋士の先生にも話すようにしていて、それを分かってくれているから、その棋士の先生のおかげで成り立っているのかなと思います。

澤本:棋士の先生って、すごくいろんな人がいるんだなって最近知りました。

山口:もう個性の塊ですよね。

澤本:ものすごいダジャレを言って有名な人もいますよね?

山口:そうです。しゃべる言葉がすべてダジャレっていう先生だったり(笑)。けっこう面白いです。いろんな人がいます。

澤本:でもその先生がダジャレを言うっていうのは、もう皆さんの中で有名なんですか?

山口:認知されていますね。普段のトークもそうなんですよ。もう「同飛車大学」みたいな感じで(笑)。

澤本:(笑)。

山口:ずーっとダジャレなので(笑)。

澤本:すごいですよ、なんか僕らの周りでもダジャレを言うおじさんがいるけど、もうその比じゃなく、全部についてわざわざ言ってくれる感じで。

中村:(笑)。

山口:ダジャレを自らつくり出していますからね!すごいんですよ。

澤本:あれは振るんですか?例えばお話しをしていたとすると、「先生ここで言ってほしいな」っていう感じで?

中村:キラーパスを投げたりするんですか?

山口:いや、キラーパスを投げなくても全部。

澤本:勝手にやるんだ(笑)。

中村:(爆笑)。

山口:キラーパスを投げないと話してくれない先生には、投げるようにしています。自ら言ってくださる先生の時は、逆にその先生の個性を消さないようにおとなしくしていますかね。女流棋士の中でも、この先生にはこうする、みたいなものを、みんなで共有してやっています。

澤本:へえーー。

中村:それ大事ですね。

澤本:僕の奥さんは、将棋番組をそれこそ一日何時間も見られるわけ。よく飽きないなーと思って見ていたけど、意外と飽きないみたいね。

山口:いやでも、この局面でもう解説で言うことがないってなったら、けっこう世間話をしたりしているんです。

澤本:そう!その世間話が面白いって言っていたよ。「●●食べた」とかさ。

山口:そうですね。

中村:えーー!いいんですか!?

山口:そうなんですよ。でも将棋放送って何十時間もあるので……

中村:あーー、そうなんだ。

山口:朝9時から夜中の11時ぐらいまで、ずっと放送していたりするので。

中村:あれ?ごめんなさい。また素人質問ですけど、一回の対局は、だいたいどのくらいの時間でしたっけ?

山口:その将棋によるんですけど、持ち時間が6時間だったり、持ち時間9時間で2日制だったり。いろんな対局がございまして……

中村:なるほど。

山口:長時間の対局の解説番組ってなると、やっぱりその棋士の先生が重複することがあって。対局者が2時間ぐらいずっと考え続けて、解説も全部しきっちゃって、「これが最善手なんじゃないか」みたいなものを導き出して、さあ後の1時間をどうする?となった時に世間話をします。

中村:はいはい。また1時間後くらいに戻って来て、「さあどうする?」「これいくだろう!」「あれー!?」みたいな。

山口:そうです。指し手が1手進んだら、そっちに戻る感じですね。

次ページ 「休みも将棋づけ、将棋一本で生活している棋士は9割もいる」へ続く

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