日本グラフィックデザイナー協会/JAGDA(会長:佐藤卓)は、通巻41冊目となる年鑑『Graphic Design in Japan 2021』の掲載作品選考会を開催し、厳正な選考の結果、「第23回亀倉雄策賞」1作品、「JAGDA賞2021」9作品を決定した。応募数は490作品で、入選率は約27%。
JAGDA初代会長を務め、世界のデザイン界にも影響を与え続けた故・亀倉雄策氏の業績をたたえ、毎年『Graphic Design in Japan』出品作品の中から、年齢やキャリアを問わず、最も輝いている作品とその制作者に授与される亀倉雄策賞。本年度は、田中良治氏の東京タイプディレクターズクラブのインタラクティブデザイン「Tokyo TDC ウェブサイト」に贈られた。なお、インタラクティブデザイン作品への授賞は初めてとなる。
受賞作品である東京タイプディレクターズクラブのウェブサイトは、会員名簿や年度別受賞作品ページを中心に、シンプルかつスムースに設計されているが、スクリーンセーバーとしてデジタル時計が大胆に画面を覆うように現れる。時計の数字は、会員のデザインによる個性的な書体がランダムに表示される仕掛けになっている。
本作について、亀倉雄策賞運営委員は「スクリーンセーバーの仕掛けが目立つが、むしろウェブを成立させるディテールの繊細な作り込みに彼の本質がある」「ウェブサイトは情報のデザインであり、作る人のセンスが特に問われる。ヴィジュアルな魅力だけではない奥深さがある」「ベーシックな部分が気持ちよくデザインされていて、特異な仕掛けも落ち着いて見ていられる。未来を感じる」と評している。また、最終候補にはならなかった田中のもう一つのウェブサイト作品も評価が高かった。
入選作品を収録した年鑑は、編集長・柿木原政広氏、ブックデザイン・工藤“ワビ”良平氏により2021年6月に発行の予定。
発刊に合わせ、東京ミッドタウン・デザインハブにて年鑑作品展「日本のグラフィックデザイン2021」、および別会場にて6月下旬より開催後、アジア圏へ巡回予定だ。また、「第23回亀倉雄策賞受賞記念展」は、6月22日より東京・クリエイションギャラリーG8にて開催後、巡回予定。
亀倉雄策賞受賞作品
田中良治
タイプディレクターズ団体のインタラクティブデザイン/「Tokyo TDC ウェブサイト」(東京タイプディレクターズクラブ)
https://tokyotypedirectorsclub.org/
田中良治 TANAKA Ryoji
1975年三重県生まれ。同志社大学工学部および岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー卒業。2003年セミトランスペアレント・デザイン設立。ウェブサイトの企画・制作から国内外の美術館・ギャラリーでの作品展示までウェブを核とした領域にとらわれない活動を行っている。主な活動に、「オープンスペース」2008、2015/NTTインターコミュニケーションセンター[ICC]、「tFont/fTime」/山口情報芸術センター[YCAM]、セミトランスペアレント・デザイン「退屈」/ギンザ・グラフィック・ギャラリー、「光るグラフィック展」1、2/クリエイションギャラリーG8の企画・キュレーションなど。’15年JAGDA新人賞、’17年、’20年JAGDA賞受賞。
JAGDA賞受賞作品
ポスター
渡邉良重/平和希求キャンペーンポスター「HIROSHIMA APPEALS 2020」(ヒロシマ平和創造基金/広島国際文化財団/日本グラフィックデザイナー協会広島地区)
ジェネラルグラフィック
服部一成/現代美術館のツール・グッズ「弘前れんが倉庫美術館」(弘前れんが倉庫美術館)
本間亮/工務店のロゴ「石井工務店」(石井工務店)
ブック・エディトリアル
葛西薫/映画の写真集のブックデザイン「椿の庭」(赤々舎)
パッケージ
原研哉/商品用タグ「無印良品 タグシステム」(良品計画)
新聞広告・雑誌広告
藤田佳子/飲料会社の新聞広告「水と生きる」(サントリーホールディングス)
環境・空間
三澤遥/個展の出品作品・空間構成「POSIT もしもを置く たとえばを収める」
(日本デザインコミッティー)
インタラクティブデザイン
田中良治/タイプディレクターズ団体のウェブサイト「Tokyo TDC ウェブサイト」
(東京タイプディレクターズクラブ)
映像
岡崎智弘/自主制作作品「STUDY」(岡崎智弘)
複合
葛西薫/デザイナーの個展の告知ツール一式・図録「ミナ ペルホネン / 皆川明 つづく」
(東京都歴史文化財団 東京都現代美術館+朝日新聞社+ミナ ペルホネン+皆川明)