※月刊『宣伝会議』3月号(2月1日発売)では「アイデアでコロナ鎖国を乗り越える!」と題し特集を組みました。訪日外国人数が激減しインバウンド消費が見込めない現在、どのようにして新たな売上をつくっていけばよいのでしょうか。
大手企業から中小店舗まで、インバウンド需要に期待ができない中での市場開拓方法を考えます。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。
インバウンド施策をプロモーションし、地域の小売事業者を支援するジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)で理事を務める吉田淳一氏が解説する。
ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)
理事
吉田淳一氏
インバウンド・地域観光等を含め、様々な分野のエコシステム創造において、省庁、自治体、企業等への講演・コンサル支援を行っている。特に、映像を駆使したドラマチックなプレゼン「吉田劇場」講演は、年間90本を超える実績。
インバウンド回帰を見据え“自分磨き”を行う時期
私は観光庁の「ビジットジャパン+」のメンバーとして、“インバウンド”という言葉がまだ世の中で使われていない時代から、インバウンド事業を日本として盛り上げていく活動に携わってきました。
そして、その経験をきっかけに、各省庁がインバウンドのためのインフラづくりを行うサポートや、訪日外国人を個人商店が受け入れる際のポイントを伝えるアドバイザーといった活動を実施。
現在は、インバウンド事業に限らず、地方創生のための観光全般のお手伝いをしています。
今回は、訪日外国人のみならず、国内での人の移動もままならない状況下で生まれた、観光業などを営む地域の企業・自治体の新たな活動について紹介し、今後も地域の発展を持続するために必要な意識について、私の考えをお伝えできればと思います。
中国の書『易経』には観光とは「国の光を観る」ことであると記述されています。
ここでいう「光」とは何なのか。
私は「その土地独自の文化」、すなわち「その土地に行かなければ味わえない、見られない、楽しめない」という、地域のコアコンピタンスのことであると考えます。
インバウンド消費が見込めない現状で、訪日外国人に対して商品・サービスを提供していた大手の企業に見られている傾向のひとつが、このコアコンピタンスを高めること、言い換えれば“自分磨き”(自社の商品・サービスの質の向上)です。
具体的に何をしているのかと言えば、ターゲットを訪日外国人から日本人に転換したのです。
日本人は商品に対して厳しい目を持ち、目利き力が高いと言われています。
日本人に対して、“自分磨き”をした質の高いものを提供し続けていれば、インバウンドが回帰した際にも対応ができるという考えです。
このコロナ禍を“自分磨き”の期間と捉えているのは、大手企業だけではありません。
地域で特産品などを扱っている企業にも、この期間を将来に向けた準備期間として活用している企業が見られます。
そのひとつが北海道の小樽市にある老舗の酒蔵「田中酒造」です。
日本酒は製造されてから年を置かずに飲むのが一般的しかしワインやウイスキーなどは熟成し年数が経つほどに価値が高まります。
田中酒造では、このワインやウイスキーの考えをもとに、コロナ禍においてビンテージ(熟成)日本酒の仕込みを始めました。
この先、インバウンド消費や人の移動が回復した時を見据えての仕込みは、いまの時期だから行える“自分磨き”と言えるでしょう。
—本記事の続きは月刊『宣伝会議』3月号(2月1日発売)に掲載しています。
月刊『宣伝会議』3月号(2月1日発売)
第58回「宣伝会議賞」 一次審査通過者発表号
月刊『宣伝会議』3月号の巻頭特集企画は「アイデアでコロナ鎖国を乗り越える!」。
コロナ禍で外国人観光客の流入数が激減し人の往来がほぼ皆無になっている状況下、日本国内における需要の喚起、あるいは物理的な人の往来がなくなったいまだからこその、オンラインを活用した越境ECなどといった新しい売上はつくれないのでしょうか。大手企業から中小店舗まで、インバウンド需要に期待ができない中での市場開拓方法を考えます。
▽注目の記事を一部ご紹介!
〇 海外からの年間旅行者数は9割減
訪日外国人ビジネスの今後の展開とは
日本貿易振興機構 古川 祐氏
〇 江戸幕府の施策を応用し
今後の経済成長への活路を見出す
伊藤賀一氏
〇その土地の魅力を内側から理解し
将来に向けた“自分磨き”を行う
ジャパンショッピングツーリズム協会 吉田淳一氏
〇 アジアを中心に国外に約130 店舗を展開
コロナ禍、一風堂は世界でどう戦っているのか
CHIKARANOMOTO GLOBAL HOLDINGS 藤井是輔氏