日経広告研究所は2月8日、2021年度の広告費が前年度比5.3%増という予測を発表した。2020年度の広告費は16.0%減と大幅に落ち込む見通しだが、21年度はマクロ景気の好転に伴って企業活動が活発となり、コロナ禍の反動で増加するとした。
広告費伸び率の実績と予測(日経広告研究所調べ)
東京五輪の開催とコロナ収束の動向が影響
媒体別では、インターネット広告とテレビ広告が広告費全体の伸びをけん引すると予測。テレビ広告は20年度には13.2%減少するが、21年度は5.0%の伸びを見込む。コロナ下でテレビ視聴時間が増え媒体価値が高まったという調査結果もあるが、「東京五輪開催の影響も大きい。予定通り開かれれば広告費を底上げする要因となる」という前提があっての予測であり、開催動向が注目される。
ラジオ広告は21年度にスポーツ試合やイベントが例年通り行われることを前提に1.0%増を見込む。新聞広告は20年度に18.0%の大幅減となった後、21年度は3.0%増える見通し。雑誌広告は20年度に34.2%減り、媒体別で最大の減少率。一方で、コロナ下でもティーン女性誌向け広告が1~6月に健闘するといった動きもあり、21年度は2.5%増と予想する。
インターネット広告は20年度に0.5%増える見込みで、媒体別では唯一プラスの伸びを確保する。さらに21年度は13.1%増と好調を持続すると予測。ECやゲームなど、巣ごもり需要をとらえて成長している業態の出稿があり、この傾向が新常態として定着することでコロナ収束後も継続すると見ている。
交通広告は20年度に28.4%減と落ち込む。広告需要を掘り起こすため、期間限定で交通広告の単価を引き下げたこともあり21年度は1.0%増を見込む。折り込み・ダイレクトメールも20年度は26.8%減るが、21年度は5.0%のプラスを見込んでいるという。