小学3年生で『空手バカ一代』に憧れ、プロ野球引退後に極真空手に入門
権八:極真(空手)を始めたのはなぜだったんですか?
長嶋:極真空手というのは、大山倍達という方が創設者で。フルコンタクト空手の草分け的存在の極真会館というところに今僕は通わせていただいているんだけど。元々は小学校3年の時に『空手バカ一代』(講談社 原作:梶原一騎、作画:つのだじろう)というマンガを読んで。
澤本:はいはい。
長嶋:空手をやるか、野球をやるか、迷った時があったんだよね。
澤本&権八&中村:へえーーー。
長嶋:いろいろあって野球になったんだけれども、野球が終わって自分の中で、「そうだ!小学校の時に自分が夢見た極真空手の道場に俺は通うんだ!」って。それはやっぱり男としての強さの憧れというか、30歳だし、もう1回鍛えてみたいなっていう思いが自分の中であって、極真空手の門を叩こうとするんだけど、3回ぐらい引き返したからね。
澤本&権八&中村:えーーー。
長嶋:当時道場が三軒茶屋にあったんだけどね、やっぱり怖くなって、引き返したことが3回ぐらいあった。
権八:へえーー。
澤本:3回もですか。
長嶋:うん。入ったらどうなるのかなぁみたいな迷いがあって、3回ぐらい引き返したけど、小学校の時の憧れとか思いはやっぱり大事にしたいなと。50歳になっても青春を謳歌したいって勝手に思っているんだよ。途中で体調が悪くなったりして、道場から遠ざかっていた期間も何年もあるし、「あーだめかー、ここまでかー」っていつも思っているし。
でも成長進化っていう言葉があるとすると、弱い自分をちゃんと見極めて少しでも強くしたいって思いを、道着を着て確認しているってことですよ。誰かが言った言葉だけど、「強い男と弱い女は見たことがない」みたいな。和田アキ子さんがおっしゃったのかな。その通りだと思って。男で強い人ってあんまり見たことないんだよね。強そうに見える人はいると思う。でも男って基本的にみんな弱いと思う。僕自身もその中でも一番弱いぐらいだと思っているんだけど、弱いな弱いなと思っているだけじゃダメだなあと。
澤本:うん。
長嶋:極真みたいなフルコンタクトの空手をしていれば、喧嘩をしたら負けないぞっていう自負はありますよ、当然。それぐらいの気持ちがなかったら黒帯巻けないから。もう60歳になっても65歳になっても、若いやつと喧嘩した時は絶対1発で倒すって決めているから。
一同:(笑)。
中村:まあ、負けなさそうですけどね(笑)。
長嶋:それぐらいの感覚で自分の技を決めているわけじゃない。でもそんな発想って弱いから発想として起きるわけです。
澤本&権八&中村:ほおーー。
長嶋:自分が強いと思っている人は、そんなことしないですよ。確実に自分の弱さを認識しているからやっているし、弱さを認識して少しでも強くなりたい気持ちを持つことが大事なんじゃないかなと勝手に思っているんだけどね。今の子たちはこういう話をしても理解できないかなあ。それ何なの?暴力じゃないのとか。でも空手は暴力でもなんでもないです。暴力とは対極に位置する武道団体なので。
澤本:はい。