【前回】「第4回 テレビ東京・伊藤P「テレビ東京的思考法」(前編)」はこちら
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ご感想などはこちらから:『嶋野・尾上の「これからの知られ方」』へのお便り
お便りをいただきました!
尾上:はい、こんにちは。『嶋野・尾上の「これからの知られ方」』第5回です。はい。この連載は広告の仕事をしている2人が、個人がブランドを始める時代における知られ方について考えていく番組です。
嶋野:いいですね。
尾上:前回はテレビ東京の伊藤プロデューサーですね。『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』や、『モヤモヤさまぁ~ず2』を手がけられたプロデューサーで。テレビ東京的思考法についていろいろ伺ってまいりました。で、今回は番組作りのスタンスとかですね。テレビ東京という、テレビの中では一番知られてないだろうという前提のもとで、そこからどう戦うかっていう話が、今回の連載に合うんじゃないかと、そういう企画になっております。
嶋野:はい。っていうことで、今日後編なんですが。その前ですね、なんとついに、この連載にもですね、お便りが来ました。
尾上:お。来ましたね。
嶋野:やっとですね。3000万人の尾上ファンからやっと2通も来ましたよ。
尾上:いないでけど、2通ありがとうございます。
嶋野:いや僕これ、丁重にお答えしないといけないなと思って。じゃあ早速よろしいですか、尾上さん。
嶋野:ペンネーム「恋とじゃがいも」さんからです。
尾上:はい。
嶋野:「私は広告志望の学生です。お二人のTwitterいつもこっそり覗き見しています。お二人はいつも謙虚な発言が多い印象ですが、もっと目立ちたいみたいなことはないのですか。これからもラジオを楽しみにしています」
尾上:ありがとうございます。
嶋野:ありがとうございます。まず最初にですね、二人とも謙虚じゃないですね、別に。謙虚な人がたぶんこういう連載やらないですね。
尾上:まあなんか、どうですかね。でもまあ謙虚か、めちゃくちゃ目立ちたがり屋かといういう意味で言うと、謙虚寄りではあるんじゃないですか。
嶋野:本当?そうなのかな。大丈夫かな。
尾上:そんななんか、バカスカ目立ちたいとかっていうのもないなって。やっぱり広告だと、黒子であるべしみたいな、あるじゃないですか。だからそういう意識もあったり。
嶋野:もっと目立ちたいみたいなことはないんですかって聞かれてますけど。
尾上:もっと目立ちたい、目立つと怖いですからね、昨今。
嶋野:どういうふうに怖いんですか。
尾上:何か街中歩いててニヤニヤ笑われたりとかしたら嫌じゃないですか。
嶋野:あるの?そういうの。
尾上:いやいや違いますよ、目立っちゃったらですよ。どうなんですか、嶋野さんは。目立ちたいですか。
嶋野:怖いですよね、やっぱりね、いろいろね。
尾上:やっぱり。
嶋野:これぐらいにしておきましょう、この話については。
尾上:はい。
嶋野:答えとしましては、いまぐらいがちょうどいっていう答えですかね。
尾上:そんな気がします。いいんですかね、こういう感じで。
嶋野:わからないです。もし、「恋とじゃがいも」さん、こんな答え欲しいんじゃねーよって思われたら、ぜひもう1回お便りいただいてもよろしいでしょうか。
尾上:ああ、そうですね。何回でもいただけると。
嶋野:DMみたいなやり取りになると思います、このラジオ。
尾上:うれしいですね。
嶋野:もう1通、大阪から。「ブルータスほはへほは」さんからいただきました。
「こんにちは、二人に質問です。私も二人のような、同じように広告業界で企画の仕事をしています。最近思うのが、多様性とか環境問題を学ぶにつれ、自分が広告を作っていることに対して、それが本当に世の中を良くしているのか、資本主義という魔法にかけられて消費を促し続けることが楽しいことなのだろうかというふうに疑問が浮かんでしまっています。ただ、とはいえ、業界外の誰も知らないような、ソーシャルグッドだけしかない広告もなんだかうさんくさく感じています。お二人は自分の仕事にどういう使命感を持っていますか」
尾上:結構ヘビーなやつが来ましたね。使命感ですか。使命感ね。まあ、どうなんでしょうね。最初の話でいうと、そもそも資本主義に加担するようなものがいいのかみたいな話ですよね。山本高史さんの本で、「広告っていうのは、基本的に善なるものだ」っていうことを書いてたんですよね。『広告をナメたらアカンよ。』って、これ名著ですけど。
「これはみんなに(とって)いいだろう」と思うものを、自分一人では届けられないから、それを広げるためにやっているのが広告っていうことなので。そういう善意が発生したものを広げるっていうのが、広告の原初なんですよね。と、とらえるのであれば、僕はそれをやるのはすごいいいことなんじゃないかなっていうふうに思っています。
嶋野:いや、いいと思います。
尾上:そんな中、かといってソーシャルグッドとかでも、業界ウケみたいなのだけは、ちょっとトゲのある言い方されているからね、なんか怒りを感じているんでしょうね。確かに効力のない、内輪向けっぽいやつってのはどうかなって思うんですが。
まあふだんの仕事でも、いいことってなんか、環境のためとか、社会に対してメッセージを言うだけじゃなくて、別にある一つの楽しみ方が提示されているだけとか、何か違うものの見方がちょっと入っているってだけでも、全然それってソーシャルグッドって言えるんじゃないのっていう。だから僕、古くから結構いい広告って、全部ソーシャルグッドなんじゃないかなって思ったりもしているんですよ。
嶋野:なるほど、そうですね。
尾上:だから、自然といい広告とされるものは僕ら目指したいとこですけども。両方入っていると思うんで、そこをやっていくのがいいのかなってのが、なんとなく僕の使命感としてはあります。
嶋野:いや素晴らしい、そんなに考えているなんて。
尾上:考えていますよ。
嶋野:エラいですね。
尾上:いや、どうなんですか、嶋野さんは。使命感は。
嶋野:使命感?使命感……なんだろう。まあでも楽しい仕事ではあるなと思いますけどね。基本、広告、みんなスタンスが違う中でいうと、俺はいまは翻訳に近い感覚を持っていて、言語の違いによって超えられない壁みたいなもの、つまり企業が伝えたいけど、世の中、向こう側には伝わってないような状況のものを、こうやって変換して伝えると伝わるんじゃないかみたいな、そういう仕事なんだろうなぁと最近思って仕事してるので。
そのときに、いつも正しいことが全部伝わるわけじゃないっていうのひしと感じて。逆に間違っているか、変に伝わっちゃうことも当然あるんだけど。なんかそういう、人間っていうのはこういうふうに伝われば喜ぶんだとか、そう伝わると燃えるんだみたいなものを仕事を通じて知ることができて。ああ人間って面白いなっていつも発見しながら仕事をしています。
尾上:嶋野さん、ついに人間の心が生まれ始めている。
嶋野:これ答えになっているんですかね。
尾上:まあ各々の使命感は一応、何かしらはあるよということで。
嶋野:今、私なんか答えきれなかったので、今のすごい宿題としてブルータスさん、考え続けますので。またいつかどこかで答えさせてください。という感じなので、お便りぜひお待ちしています。
尾上:はい、お待ちしてます。
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