日本を代表するクリエイティブディレクター、佐藤可士和の展覧会「佐藤可士和展」が、東京・六本木の国立新美術館で2021年5月10日まで開催されている。
佐藤は、1965年東京生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、博報堂を経て2000年独立。同年クリエイティブスタジオ「SAMURAI」設立。ブランド戦略トータルプロデューサーとしてコンセプトの構築からコミュニケーション計画の設計、ビジュアル開発、空間設計、デザインコンサルティングまで、強力なクリエイティビティによる一気通貫した仕事は、多方面から高い評価を得ている。
本過去最大規模の個展となる本展では、佐藤自身がキュレーションする会場構成のなかで、約30年にわたる佐藤の活動の軌跡を多角的に紹介。会場では、佐藤自身の解説による音声ガイダンスを聴きながら鑑賞できる。
展覧会の入り口となるのは、佐藤の原点とも言える幼少期のコラージュ作品「宇宙」や、1989年の博報堂入社当時、Macintosh IIciを用いて初めてコンピュータでデザインした作品「6ICONS」などを展示する「THE SPACE WITHIN」。
続く「ADVERTISING AND BEYOND」では、CDジャケットや飲料のパッケージから、ショッピングバッグ、駅の連貼りポスター、ビルボード、街路を巡るラッピングバス、そして道端で通行人に配られるポケットティッシュまでもメディアととらえ、それら全てを統一性のある明快なデザインで貫いた、佐藤の代表作ともいえるプロジェクトを展示。SMAP、裏SMAP、キリン「極生」、HONDA「ステップワゴン」、パルコ、OZOC、ユニクロなどのビルボードが会場に展開される。
「THE LOGO」のコーナーにおいて、佐藤は私たちが日々慣れ親しんでいる数々のロゴを、巨大な絵画やオブジェへと物質化し、壮大なインスタレーションとして展開。佐藤がこれまで手掛けたロゴが、企業・組織の理念や活動分野に由来する素材で制作されている。例えば今治タオルのロゴはタオル地で、三井物産のロゴは木材で制作。ユニクロのロゴは、キャンバスに油絵で描かれており、圧巻の空間だ。
「THE POWER OF GRAPHIC DESIGN」では、佐藤の原点ともいえるグラフィックデザインを中心にしたもので、ISSEY MIYAKE、KITTY EX展、グラフィックトライアルなど選りすぐりのポスターが展示されている。
続く「ICONIC BRANDING PROJECTS」では、佐藤が2000年代半ばから手掛けてきた
さまざまな領域におけるブランディングのプロジェクトを紹介。東京都立川市の「ふじようちえん」、日清商品関西工場、「八代目中村芝翫襲名披露公演」、「セブン-イレブン」リブランディングプロジェクトほか、佐藤が一貫して追求してきた、目に触れるあらゆるものをメディアととらえ、デザインを通して「アイコン」にするという戦略を体感することができる。
そして、佐藤自身の「アイコン」とも言うべき二つのアートワークのシリーズ、「LINES」と「FLOW」のセクションでは、新作を公開。本展のキービジュアルにもなっているクリアな赤・青・白の直線で構成される「LINES」ではコンセプトムービー、有田焼の陶板作品と組皿、そして初公開となるステンレススチールを用いた大型作品を展示。また、青の岩絵具をたっぷりと含ませた大筆を振り、紙にいっさい触れることなく、動力と重力だけで描かれる「FLOW」の最新作3点を、その前身に位置付けられる有田焼のシリーズ「DISSIMILAR」とともに紹介する。
本展の最後には、佐藤の代表作の一つ、ユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」の国立新美術館バージョン「UT STORE @ THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO」が登場。TシャツのデザインからUT STOREにおける購買体験まで、「UT」のプロジェクトそのものを一つの作品として提示する新しい試みとなっている。ここでは佐藤がプロデュースしたこの場所でしか買えないTシャツデザイン、オリジナルパッケージの「UT」27種を買うことができる。
2月25日には、本展の開催記念トークセッション「空間・体験とブランディング」をオンラインで開催(※事前申込制、申込期限2月23日)。佐藤と共に、『佐藤可士和展』の展示作品、「楽天[UNLIMITED SPACE]」に携わった楽天デザインラボと丹青社のメンバーが参加する。
会場:国立新美術館 企画展示室1E
会期:開催中、5月10日(月)まで。
休館日:毎週火曜日
※ただし、2月23日(火・祝)、5月4日(火・祝)は開館、2月24日(水)は休館
開館時間:10:00 - 18:00 ※入場は閉館の30分前まで
※事前予約制
【佐藤可士和さんの関連書籍】
・佐藤可士和初作品集「BEYOND」 「佐藤可士和展」会場にて限定販売中。
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・「佐藤可士和さん、仕事って楽しいですか?」
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