何か食べたいときに「Uber Eats」が一番に頭に浮かぶように Uberのマーケティング戦略(前編)

新型コロナウイルスの感染拡大から約1年。巣ごもり需要を追い風にレストランパートナー数を7万件に増やすなど大きく成長を遂げたのがオンラインフードデリバリーなどを行う「Uber Eats」だ。運営するUberは、この追い風を生かしてどのようなマーケティング戦略を展開しているのか。APACマーケティング統括 シニアマーケティングディレクターのルシンダ・バーロウ氏に聞いた。

ルシンダ・バーロウ
APACマーケティング統括 シニアマーケティングディレクター

オーストラリアとニュージーランドで7年間にわたりGoogleのマーケティングおよびコミュニケーションチームを率い、その後YouTubeの消費者マーケティングと製品マーケティングを指揮し、YouTubeのカルチャー&トレンド事業をグローバルに拡大。2019年10月にから現職。

 

新しい日常で食事の選択肢が変化

—コロナ禍で、消費者のニーズはどう変化してきましたか。

消費者は今、あらゆる物事の選び方を、これまでとは異なる基準で再検討していると感じています。例えば、ステイホーム期間の子どもたちの食事をどうするかということ。今まで考えなかった選択肢を候補に挙げたり、新しい選択肢を選んだりしているということです。

コロナ禍で、我々が提供しているオンラインフードデリバリーや日用品のデリバリーの需要は急激に増加しました。これはコロナ終息後も定着していくのではと予想しています。

また、我々はモビリティ事業も展開していますが、移動手段も世界中で再検討されています。例えばインドでは、安全性への意識から不特定多数が利用する電車や地下鉄、バスではなく、他者との接触を避けられる二輪や自家用車へのシフトが起きています。

つまり、人単位や国単位で、「新しい生活習慣のもとで、より日常を楽にする・便利にするための選択肢はないか」と、再検討するステージに入っています。

最適なものを当たり前に選ぶことができる日本人

—そのようなニーズの変化もあり、「Uber Eats」は日本国内で約7万件のレストランパートナーと提携するなど、追い風が吹いています。日本ではどのようなマーケティング戦略を展開してきましたか。

私は、2019年10月にアジア太平洋地域におけるマーケティング統括に就任しました。この地域において日本は重要な国です。日本は当社にとって新しいマーケットですが、コロナ禍でオンラインフードデリバリーのみならず、日用品のデリバリーの需要が高まっています。

日本は食文化がとても豊かです。街のラーメン店から世界各国のグルメまで、ありとあらゆる食事の選択肢があります。つまり、日本人はいつも幅広い選択肢の中から、自分にとって最適なものを当たり前に選ぶことができるという特徴があります。マーケティング戦略を考えるうえでは、その点に注目しました。

こうした競合の多いマーケットで、我々はオンラインフードデリバリーや日用品のデリバリーのブランドとして「Uber Eats」が一番に頭に浮かぶような状態にするべく、ブランディングを行っています。

—消費者には、具体的にどのような点を訴求していますか。

私たちの競争優位性は3つあります。

ひとつは幅広い品揃え。我々のサービスでは、日本の消費者のニーズである「多種多様な選択肢の中から最も良いものを選べること」を満たせると考えています。2つ目の優位性は、シームレスで快適なアプリ体験。好きな時にいつでも食事を注文できて、配送状況を追跡できます。

3つ目は、平均30分以内にどんなものでも届けること。料理のみならず、日用品でもペットフードでも、友人にプレゼントするシャンパンでも、何でも手に入れることができます。この3つを軸に、プロモーションを展開しています。

次ページ 「「コンシューマーファースト」でキャンペーンをデザイン」へ続く

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