「広告ではなく行動せよ」の精神で“移動しないで”と呼びかけ Uberのマーケティング戦略(後編)

飲食店やコミュニティへの支援も

—社会貢献活動にも力を入れていますね。

新型コロナの流行が発生した当初、我々は本社で特別委員会をつくり数カ月に渡って議論を続けました。そこでまず取り組むべきと考えたのが、企業の社会的な責任を果たすことでした。つまり、コロナ禍で困難を感じているパートナーやコミュニティに支援をすることです。

日本国内では、2020年3月26日に中小規模のレストランパートナーへの支援策を開始しました。Uber Eatsでの稼働開始や営業の負担を軽減できるように、初期手数料の支払い免除やアプリ内プロモーションの費用負担を実施しました。

さらに、第一次緊急事態宣言時には5つの地方自治体(神戸市、渋谷区、福岡市、千葉市、名古屋市)と連携した取り組みも実施しました。各自治体がプロモーション費用を負担し、エリア内の飲食店の売上創出や、外出自粛をする市民の皆さまのサポートにつなげました。

2021年1月に発令された第二次緊急事態宣言下では、第一次での経験を活かしてよりスピーディーに動きをとり、約10日で千葉市との連携をスタートさせました。

さらに、全世界で実施した取り組みですが。医療従事者や高齢者を中心に1000万件の無料配車サービスと食事の無償提供を行いました。日本においては、医療従事者や難病児の家族、貧困家庭の児童らに計5万食を越える食事を無償提供しました。

今後も、このような飲食店やコミュニティの支援を続けていきます。また、ワクチン接種に関するサポートも行う予定です。ワクチンセンターへの人の移動を支援するべく、1000万件の無料もしくは割引の配車サービスの提供を行いたいと考えています。

‟マーケットリーダー”の次のフェーズに

—新型コロナ感染拡大から約1年。コロナ下でUber Eatsを初めて利用したユーザーが、リピーターになるか否かの分岐点でもありますね。リピーター醸成のための戦略はありますか。

Uber Eatsは、この1年で日本国内におけるマーケットリーダーとなりました。ですので今後は、「何か食べたいな」と思ったときにまず頭に浮かぶのがUber Eatsだという、トップオブマインドの醸成を強化していきたいと思っています。これは新規のお客さまに対しても、既存のお客さまに対しても同様です。

そのためには、最高のサービスを提供することが必須です。小さなお店でも有名ブランドでもフランチャイズ店でも、「あらゆる商品がすべてUber Eatsにある」となるように、パートナーを増やしていくことが鍵だと考えます。

パートナーの数は現在、日本国内で約7万件。

リピーター創出のための施策としては、2020年8月5日にローンチしたサブスクリプションサービス「Eats パス」があります。月額料金を支払えば、1200円以上の注文時の配送手数料が常に0円になるというサービスで、現状多くの方に登録をいただいています。

新型コロナ終息後も継続してご利用いただけるよう、今後もブランディングやプロモーションを加速させていきたいです。

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