視聴データ可視化の先駆者が見る データプラットフォームの変化

業界に先駆けて2014年、インターネット上で個人のテレビ視聴状況をリアルタイム分析できるサービス「SMART(スマート)」をリリースしたスイッチ・メディア・ラボ。
企業のデータ利活用の変化について、同社・テレビデータ事業部の伊勢村 千尋氏に話を聞いた。

月刊『宣伝会議』3月号(2月1日発売)では「進化するデータと取引プラットフォーム 『テレビ広告』新時代」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

業界全体で新たな市場をつくる課題解決型のサービス展開

コロナ禍以前から、DXを進めるなかで広告もデジタルシフトするという傾向にありました。テレビCMのメリットは、CPM(掲載1000回あたりの費用)が非常に安く、広いリーチがとれること。その点でデジタル広告との住み分けが可能になっています。コロナ禍で広告主側の事情も大きく変わりました。業績が落ち込んで、広告費を減らさざるを得なくなったとき、いかに広告効果を維持するか。そこでデータ利活用の土壌がつくられてくると、テレビの価値はもっと上がっていくと思います。

商品の特性にもよりますが、性別や年代にとらわれず「人物像」でターゲティングをしたいというニーズは年々高まっています。また、テレビCMによるブランド醸成を目的としたとき、GRPやリーチだけではなく、認知度や好意度のような指標をKPIとしたプランニングも検討する必要があります。現状、日本はまだまだテレビ広告効果の可視化に関する市場は発展しつつある段階。私たちSaaSプレイヤーが運用システムを打ち出して、業界全体で環境を整備していくことで、テレビ広告に関わる取引の手法も変化していくのではないでしょうか。

ただし、いきなり大きな枠組みを変えることは難しい。いま私たちが行っているのは、放送局と広告主、広告会社で連携し、リアルタイムでのバイイングがどこまでできるのか、といった検証です。ツールを提供するだけではなく、広告主の皆さんと一緒になって、仕組みづくりを進める必要があるのではないでしょうか。

この1年で各社が打ち出しているのは、業界ならではの課題特化型のソリューション。データを基に課題を見出すというより、「プランニングのため」「クリエイティブのABテストを行うため」など、課題解決のためにデータを活用する、という流れになってきました。

当社も、ターゲットのトータルリーチを基準に番組の最適な組み合わせをシミュレーションする「TRO(タイムCMリーチオプティマイザー)」を2020年6月にリリース。2014年にテレビ視聴データの提供からスタートして徐々に、目的別のサービス展開を広げてきました。私たち自身、クライアントの方々に対するアプローチの仕方も変わってきています。

これは広告全般に言えることですが、「量」と「質」を考えたとき、どのようなクリエイティブでメッセージを発信するかという「質」の部分は多く検討されています。しかし、ビジネスとして予算を考えたときに基軸となるのは「量」。自分たちでデータドリブンできる企業は強い。今後、「テレビ広告を運用型に変える」という大きなニーズがあるなか、私たちはそこに対するツール支援、そして環境をつくるための情報発信をしていきたいと考えています。

スイッチ・メディア・ラボ
テレビデータ事業部
マーケティング部
セールスマネージャー
伊勢村 千尋 氏

 

月刊『宣伝会議』3月号(2月1日発売)

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特集
進化するデータと取引プラットフォーム 『テレビ広告』新時代

 

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