国内の平均月間リーチで1位を獲得
コロナ禍による外出自粛生活でインターネットメディアの利用が加速している中、ニールセン デジタルが2020年12月に発表した「Top of 2020:Digital in Japan」の「2020年日本におけるトータルデジタルリーチTOP10」では、Yahoo! JAPANは平均月間リーチ63%で1位を獲得。グループ会社のサービスであるPayPayも10位に入った。
これらの結果について、宮村氏は「コロナ禍におけるインターネット利用の変化として、利用目的の多様化と、情報の信頼性を吟味するスタンスが強くなったことが挙げられる。ニュースやショッピングなど幅広いサービス展開で、目的の多様化に対応し、掲載情報の信頼性・リアルタイム性も高く評価されているため、コロナ禍の生活に深く介在できていると考えています」と話す。
日経BPコンサルティングが2020年に発表した「Webブランド調査」でも同社が1位を獲得。態度変容や行動喚起のスコアが前年から大きく上がっている、という総評を得ている。宮村氏は、特筆すべきこととして「アクションに近いユーザー行動の増加によって、当社に膨大なデータが蓄積される。その行動データは広告主様のマーケティングにご活用いただける」と語った。
5Gの到来で動画視聴はスタンダードになりつつある。今後数年で大きな成長が見込まれる動画広告市場だが「課題もある」と宮村氏。ヤフーの調査では、「デジタル動画広告をストレスに感じたことがあるか?」という問いに、78%もの人が「ある」と回答した。「今からまさにこのコンテンツを見よう、といったときに、あまり関心がない動画広告が流れたら、ストレスに感じると思う。今後の動画広告では、リスクを最小限にしながらチャンスを最大化していく、という考え方が重要」と宮村氏は語った。
Yahoo! JAPANの動画広告は低ストレス
Yahoo! JAPANでの2020年の動画コンテンツ総視聴回数は月平均34.3億回で前年比170%、総視聴時間も月平均5836万時間で前年比133%と伸びている。動画広告の出稿社数と出稿費も、ともに増加傾向だという。宮村氏は、「Yahoo! JAPANの動画広告のストレス度は、市場の中では相対的に低い。プランニングの力によって動画広告の情報量が持つリスクを抑えつつ、情報量が持つ優位性を最大化できる」と自負する。
同社の動画広告のストレス度はなぜ低いのか。
インストリーム型を採用するメディアや、アウトストリーム型を採用するSNS系メディアでは、コンテンツの視聴やインフルエンサーの投稿を見るなど、ユーザーはコンテンツへの視聴モチベーションが明確なので、その前後に差し込まれる動画広告がストレスに思われがちである。
一方、アウトストリーム型を採用し、権利処理されたコンテンツが並ぶニュース系メディア、例えば同社のYahoo!ニュースを見ているユーザーには、有益な情報を受動的に見ている人が含まれている。そういったユーザーは、自分に有益であれば動画広告の情報を前のめりに享受する、といった違いがあるとのこと。コロナ禍で伸びを見せるコンテンツ周辺の広告の方が、ストレスを感じさせるリスクが高いという皮肉な結果だ。
宮村氏は、「ユーザーの広告許容度の高さ、当社の情報に対する信頼度、動画の情報量を掛け合わせることでユーザーの行動を喚起できる。そこで、『誰に、何を、どう伝えるか』のプランニングが重要になる」と話した。