(本記事は『ブレーン』2021年4月号の特集「SDGsの達成へ クリエイターが考える持続可能な社会」に掲載したものです)
レーザの力で「見える」を叶える
QDレーザ 代表取締役 菅原充さんは「ロービジョン(弱視)の方は、世界に約2.5 億人、日本には約145万人いると推定されています。当社のミッションは『レーザの力で、“できない”を“できる”に変える。』こと。
当社の技術や製品がロービジョンの方々にとっての支援となればと考えてきました」と話す。2006年に独立した同社では、12年から「レーザ網膜投影技術」の開発を進めてきた。これは超小型のプロジェクタから目の網膜に直接映像を投影する技術を指し、投影される映像はピント位置に影響を受けないため、細かなピント調整は必要ない。
その技術を活用して、QDレーザはアイウェア型のデバイス「RETISSA」シリーズを開発。「RETISSA Display」として19年に発売した。PC やスマートフォンなどとHDMI 接続することで、画面の映像が直接網膜に投影され、近視・遠視・乱視・老眼などの人でも映像をクリアに視認することが期待できる。またデバイスを通さずに認識する映像との自然な重ね合わせも可能なため、AR・MR 分野での応用が模索されてきた。
さらに2020年1月、同シリーズの「RETISSAメディカル」は、厚生労働省から国内で医療機器として販売する承認を得た。
アイウェア型デバイスに小型カメラがついたもので、撮影した映像をリアルタイムで網膜に直接投影することで、ロービジョン(弱視)者でも、「見える」ようになるしくみ。
こちらは21年2月に発売したばかりだ。
とはいえ、先端技術を駆使した機器のしくみを説明し多くの人に魅力を知ってもらうには、工夫が必要だ。そこで19年度から電通をパートナーに迎えている。「私たちの持つコアテクノロジーと、広告のプロの“伝える力”とが合わさることが重要だと考えています。それが上手く結実したのが今回実施した『With My Eyes』プロジェクトです」(菅原さん)。