Harumari Inc.では、どのように両者のバランスをとっているのであろうか。同社が考える、オウンドメディアの編集者に必要な視点とは?現場でオウンドメディアの運営に携わるメンバーに聞いた。
世界観もフォーマットも様々 ハルマリが大切にする“高い視座”
JALの「OnTrip JAL」、東京海上日動あんしん生命の「マネコミ!」、KDDIの「TIME&SPACE」など、幅広い業界の多彩な世界観のオウンドメディアに携わってきたハルマリ。ハルマリが手掛ける事例は、何故ここまでバラエティに富んでいるのであろうか?
「オウンドメディアの運営は、出版社などのメディア企業が持つブランドスタジオがサポートしている事例も見られます。このようなブランドスタジオでは、自社メディアのブランドのカラーにあった世界観をクライアントに提案するケースが多いと思います。当社ではトーン&マナーなどでクライアントを選択してはおらず、ハルマリの色ではなく、そのクライアントにとって最適だと考える世界観を提案しているので、その結果、幅広いテイストのメディアを運営しているのだと思います」と同社COOの宮島剛氏は話す。
このように、様々な業界での実績を持つオウンドメディアのプロであるハルマリだが、多種多様なのは世界観だけではない。
“オウンドメディア”というと、Webマガジンを思い浮かべる人も多いかもしれないが、同社ではアウトプットするフォーマットもその時の企業の状況や読者にあわせて変化させている。
事例のひとつが、女性のウェルネス課題の解決や支援事業を行う「fermata(フェルマータ)」と共同で行ったライブコマースだ。本当に使える「生理用フェムテック」をキュレーションして紹介・販売するオンラインライブ番組として、1月14日から3週連続で配信された。
「フェムテック領域は近年話題になってきたものの『生理について語ろう!』といったソーシャルな文脈で語られがちで、まだまだ自分ゴト化している女性は少ないです。そういう時に、単に取材記事を発信するだけでは読者に届かない。動画で、しかも視聴者とリアルタイムで対話をしながら楽しくフェムテック商品に触れられるライブコマースなら、フェムテックを実益のあるものと感じてくれるのではと思って提案しました」と本企画を担当した坂部萌衣氏は話す。
坂部氏は普段はオペレーションディレクターとしてメディア運営の進行管理を担当している。今回の企画では自ら発案し、記事編集も番組プロデュースも一人称で行っていったという。このフォーマットにとらわれない姿勢が、ハルマリの企画術の源になっている。
ハルマリがオウンドメディアのクリエイティブを企画する上で大切にしている考えが、“高い視座”をもつこと。多様な視点と多彩なアイデアを生むために、物事を俯瞰で捉え先入観にとらわれない姿勢でいることが社員に徹底されている。時に読者の立場で、時にクライアントの立場で考え、WebマガジンやECサイトという枠組みにとらわれない発想を持つこと。その考えが社員に浸透しているからこそ、ハルマリでは状況に応じた手法での提案が行われているのだ。
CASE STUDY ライブコマース with 「fermata」
ハルマリのオウンドメディアHarumari TOKYOと女性のウェルネス課題の解決や支援事業を行う「fermata(フェルマータ)」が共同で本当に使える”生理用フェムテック”を紹介・販売するライブ番組を配信。全3回にわたり、「月経カップ」「デリケートゾーンケア」「吸水ショーツ」それぞれの使い方を、実際の商品を使用しながらデモンストレーションした。
Harumari Inc.
Operation Director
坂部萌衣氏
読者心理に寄り添う視点で「質」と「量」の両方を得る
手掛けるクリエイティブのクオリティには徹底的にこだわるハルマリだが、オウンドメディア運営においては量的な成果も求められる。限られた予算でアクセス数も増やしていくために、運営に携わっているメンバーは、どのような意識で日々の仕事に取り組んでいるのか。
東京海上日動あんしん生命の「マネコミ!」を担当する芋川健氏は、アクセス増のために、読者の情報ニーズを段階的に捉えた効率的なSEO記事の編成を心掛けていたと話す。
「『マネコミ!』の最終的な目的は、保険への理解を深めてもらい、加入意向を持ってもらうことです。しかし、今すぐ加入したいという意向がある顕在層には限りがあるため、まずは自身の生活と保険のかかわりに気づいていない未顕在層の人たちに読んでもらえる情報を発信し、徐々に保険にも興味を持ってもらうという運営方針を取ることにしました」。
このメディアでアクセス数だけを追うだけなら、フォーカスするキーワードは「保険」を中心とした言葉を選んでSEO記事を量産すればいい。しかし、それではメディア本来の目的を果たせないばかりか、競合サイトの多い「保険」というビックワード対策では制作する記事の総量が増え、コストもかさむ。
そこで芋川氏は、直接的に“保険”を訴求するのではなく、敢えて生活者が日々直面する“お金に関する悩み”にかかわるキーワードを選定した。
次に、初心者が保険に最初に関心を持ちそうなキーワード、最後にクライアントのサービスに関連するキーワードと、読者の情報ニーズの段階に合わせてSEO記事を編成。さらに、記事内には情報ニーズの段階にあわせて、関連記事への動線も確保し、アクセスした読者の関心事を深めていく流れをつくっていった。こうした精緻な戦術で記事を編成することで狙い通りのターゲットが来訪し、企業の意図する情報体験を実現。そして当初のKPIを大きく上回るアクセス数を達成できたという。
単発の記事企画に留まらず、読者心理に寄り添い、カスタマージャーニーをも意識した精緻な作業が「量」と「質」の成果を生む。このような取り組みが、読者と企業、両方にとっての価値ある情報を生み出すのだ。
CASE STUDY マネコミ!
2020年5月にローンチした、東京海上日動あんしん生命が運営するオウンドメディア。コンセプトは「みんなのお金のギモンを解決する情報コミュニティ」。保険だけでなく、家計管理、資産運用、副業、健康にいたるまで様々な分野のプロによるコラム記事を公開しているほか、著名人インタビューやイラスト豊富な漫画風コンテンツも公開している。さらに、同社のライフパートナーによる、相談実例の記事も掲載。保険だけではなく、お金全般の悩みを解決してくれるライフパートナーサービスの理解促進も行っている。
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